安倍・トランプ「親密関係」の知られざる現実 2人の関係は破局に向かっているのか?

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現在はメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を進めているが、おそらく今後はカナダとの再交渉も進んでいく。そうした中、トランプ大統領の次のターゲットは、中国への関税引き上げ、そして日本とEUにとって大きな打撃となる外国製自動車輸入への巨額な関税導入へと移っていくだろう。

トランプ政権内部、そして首都ワシントンの専門家の間では、外国製自動車への巨額な関税を導入する可能性は極めて高いと受け取られている。

「トランプ大統領は、株価の暴落、あるいは彼の政治基盤からの抵抗という2つのうちの1つが起こるまで、中国、自動車、そして次が何であれ、関税の引き上げを継続するだろう」と元国防省およびホワイトハウス高官のマシュー・グッドマン氏は話す。

こうした中で、日米関係における比較的明るい点があるとすれば、それは安全保障の分野である。複数の政府高官によれば、シンガポールでのトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談を、日本政府関係者は苦々しくみていた。特に日本の安全保障を直接的に脆弱化する米韓合同軍事演習の中止を決めたことに対して、日本政府関係者は「激しく憤っていた」ようだ。

アメリカ政府関係者が注目する沖縄県知事選

しかし、安倍内閣関係者は、トランプ政権に対して「アメリカの外交を支持する」と伝えている。ただし、これは全面的に支持する、という意味ではなく、むしろ、非核化プロセスが失敗する可能性が高いことを見込んだうえでの支持だろう。その一方で、日本政府は成功の余地はほとんどないものの、北朝鮮との交渉を継続しようとしている。

安全保障関係の強化は、アメリカからの武器購入という形で貿易摩擦を緩和する材料にもなっている。アメリカの政府高官によれば、トランプ政権は日本に対して、より能力の低い安価な武器を選択するように勧めている。そうすれば、より迅速に武器を提供することができるため、調達のペースもアップするからだ。日本が先頃発表した防衛予算では、アメリカの圧力に応える形でイージス地上配備型迎撃システム2基の購入に21億ドルを割り当てている。

一方、安全保障関係における懸念材料として挙げられるのは、沖縄だ。日本では関心が低いようだが、アメリカの政府関係者は来る9月30日の沖縄県知事選挙に注目している。関係者らはもともと、翁長雄志前沖縄県知事の死去に先立ち、自民党の支援を受けた前宜野湾市長の佐喜眞淳氏が次の選挙で勝つと確信していた。これによって、辺野古移設への「公的な反対」は事実上終わると見込んでいた。

しかし、翁長氏が亡くなったことによって同情票が集まる可能性も出てきており、アメリカ政府関係者のシナリオは変更を余儀なくされている。現在は、反基地勢力を率いる玉城デニー氏が有力だというのが、関係者の見方だ。「もはやスラムダンク(余裕で決められるダンクシュート)ではない」と、安全保障関係を担当している政府高官は言う。玉城氏の勝利は、沖縄の米軍基地に新たなレベルの緊張を高める可能性があると政府高官は気をもんでいる。

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