安倍・トランプ「親密関係」の知られざる現実 2人の関係は破局に向かっているのか?

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そこで注目されるのが、日本の経済再生担当大臣の茂木敏充氏とアメリカ合衆国通商代表部のロバート・ライトハイザー氏の会談だ。この2人は、今月また会うことになっている。これまでの交渉では何も得られなかったが、彼らは再びトランプ大統領が「勝利」と主張できる広範な2国間貿易協定に足りない、いくつかの日本に対する措置を見つけようとするかもしれない。

トランプ大統領は特に、中国との貿易戦争によって大きな打撃を受けた農村部の州の有権者にアピールするために、日本の牛肉市場と豚肉市場の開放を目指している。「EUと日本との間で『貿易協定』を協議中であることを、彼の政治基盤である有権者たちに示すことで事足りるだろう」とソリス所長は話す。

日本は「後回し」から「最優先」に

これまでのところ、安倍首相と日本は、貿易に関してトランプ大統領のレーダーに入らないよう、目立つ行動を控えてきた。そのため、中国、メキシコ、カナダ、EUがトランプ大統領の標的となってきた。しかし、ソリス所長は「日本は後回しから最優先へと移行している」と警告する。

とはいえ、安倍首相がトランプ大統領の希望をかなえるのは難しい。来年には参議院選挙もあるため、自民党の最も重要な支持者に直接的な損害を与える農業問題、さらには自動車問題で譲歩することは考えられない。

元安全保障当局者でありワシントンのカーネギー国際平和財団の日米関係上級研究員であるジェームズ・ショフ氏は、「安倍首相は自民党総裁選前の段階で、貿易におけるいかなる犠牲をも払うつもりはない」と話す。

とはいえ、トランプ大統領は、安倍首相のことをアメリカの同盟国の中で最も有能なトップともみなしていない。こうした中、安倍首相が安全保障問題と貿易問題のバランスを取るのは容易なことではないだろう。

冒頭で紹介したワシントンポスト紙の記事では、トランプ大統領は安倍首相と第二次世界大戦の問題についても交渉しようとしていると報じられている。しかし、日米同盟をウォッチしている専門家たちは、気まぐれなトランプ大統領が安倍首相への見方を変えたとは考えていない。安倍首相は、決してドイツのアンジェラ・メルケル首相のような「除け者」的な立場には至っていない。

「トランプ大統領は、安倍首相に対して好意的ではあるようだ」と戦略国際問題研究所のアジア経済担当上級顧問であるグッドマン氏は言う。「しかし、だからといって貿易政策から日本を除外するわけではないことは明らかだが」。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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