安倍・トランプ「親密関係」の知られざる現実 2人の関係は破局に向かっているのか?
さて、安倍首相は、国連総会の出席に合わせて9月25日にニューヨークでトランプ大統領と会う予定である。その前日には、ゴルフを一緒にプレーする可能性がある。首脳会談での話題は、貿易問題が中心になることはほぼ確実である。
前述のNAFTA再交渉の結果、メキシコ、そしておそらくカナダは、これらの国で製造される自動車部品について労働者の時給引き上げなどによって、アメリカで製造するのと変わらない製造コスト水準に引き上げることが予想される。
実行されることになれば、メキシコやカナダに工場を持つ日本の自動車メーカーも大きな影響を受け、日本から輸入する部品、鉄鋼、アルミニウムなどの材料が割高になるだろう。ブルッキングス研究所東アジア政策研究センターのミレヤ・ソリス所長は、「これらの条項には保護主義的な要素が多く織り込まれており、日本にとってよいニュースではないだろう」と話す。
通商拡大法232条が自動車に発動されると?
一方、トランプ大統領は中国に対しても新たな関税の準備ができていると伝えられている。そして最も重要なのは、アメリカ商務省による通商拡大法232条(安全保障上の脅威を理由に貿易相手国への制裁を可能にする法律)の結果が、外国製自動車の輸入に適用される可能性があることだ。
トランプ大統領は、アメリカへの日本製自動車の輸入約400億ドルに対して、25%の関税を課すと警告しており、これは日米関係に大きな打撃を与える可能性がある。「金属製品の関税は貿易量が多くないため大きな問題ではなかったが、自動車産業は二国間の貿易と投資の中核であり影響が大きい」(ソリス所長)。
メキシコやカナダ、EUとの交渉からもわかるように、トランプ大統領はこの種の脅威を喜んで利用して譲歩を引き出そうとする。アドバイザリーファームテネオの日本アナリスト、トバイアス・ハリス氏は「トランプ政権は、強烈な戦略を提示する前に、いろいろな可能性を探っているのではないか」と見る。
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