アメリカ人はとてつもない過ちを犯したのか トランプ大統領の裏側を描いた暴露本の真偽
ロングセラーを続けている『炎と怒り――トランプ政権の内幕』(マイケル・ウォルフ著、関根光宏、藤田美菜子 他 訳、早川書房)は、1年半にわたる綿密な取材を軸に、米ドナルド・トランプ政権の内情を明かしたドキュメンタリー。トランプ大統領から政権幹部、周辺人物までの人々との、実際の会話を基に構成されている。
なお最初にお断りしておくと、著者はUSAトゥデイ紙、ガーディアン紙に寄稿する著名なジャーナリストである。過去にはメディア王ルパート・マードックの評伝『The Man Who Owns the News』などの著作を上梓し、2002年および2004年には全米雑誌賞を受賞してもいる。
“ファクト”に基づいて書かれた“ありえないこと”
平たくいえば、「きちんとした人」。誠実な取材姿勢と客観的な視点を持った人物なのである。ありもしないことを大げさに書き立てるゴシップライターとはわけが違うのだ。そして本書も伊達や酔狂で書かれたものとは違い、きちんとした“ファクト”に基づいている。
まずは、そのことをあえて強調しておきたいのである。なぜならその点が、本書の衝撃性につながっていくことになるのだから。
早い話がここに記されているのは、常識的に考えれば“ありえないこと”ばかりなのである。だから、「フェイクなんじゃないの?」と感じても仕方がないのだが、つまりはそれがトランプ政権の真実だということだ。
たとえば「はじめに」に書かれたこの部分が、その“ありえなさ”を如実に言い表している。
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