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アメリカ人はとてつもない過ちを犯したのか トランプ大統領の裏側を描いた暴露本の真偽

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どうしても、すべてを個人の問題としてとらえてしまう。商売やショービジネスの観点で世界を眺め、つねに誰かが自分を出し抜こうとしている。誰かが主役の座を奪おうとしていると思い込む。相手が戦いを仕掛けてくるのは、自分の手中にあるものを奪うためだとしか考えられないのだ。政治の世界をたんなるいさかいや小競り合いの世界に変えてしまうことで、トランプ政権は、せっかく勝ち取った歴史上の地位を低下させてしまった、とバノンは言う。(343ページより)

ところでちょっと笑ってしまったのだが、そんなトランプの人となりを分析するにあたっては、以下の記述も注目に値する。

「大統領は基本的に人から好かれたいと思っているんです」と、ケイティ・ウォルシュ(筆者注:大統領次席補佐官、のち辞任)は分析する。
「ひたすら好かれたいと思っているから、いつも……絶え間なく、何かと格闘することになるんです」
そう考えれば、トランプがつねに、どんなことについても勝とうとするのにも合点がいく。同時に彼にとって重要なのは、自分が勝利者らしく見られることだ。もちろん、政権に就いてから最初の9カ月間、熟慮や計画もなく、明確なゴールも持たずに勝とうとした結果、もたらされたのは敗北だけだった。その一方で、あらゆる政治のロジックを覆す事態だが、彼の無計画さ、衝動性、“戦う喜び”の精神こそが、分裂を生むことで現状を打破し、多くの人を喜ばせた。(474ページより)

確かにそうかもしれない。トランプという「異端」が登場したことは、多くの人々を興奮させるに値する究極のエンターテインメントだったのだろう。ただし忘れるべきでないのは、これがエンターテインメントではなく「政治」だということだ。

本書を読めば、そのことに嫌でも気づけるはずだ。そしてアメリカ人(とりわけラストベルトに暮らす人々)が、とてつもない過ちを犯してしまったことに気づかされるだろう。

中間選挙に影響は?

今年の11月に米国では中間選挙が行われるが、その結果に、本書の存在は影響するのだろうか? 影響すればいいのだが、本書が米国でベストセラーになっているとはいえ、そもそもラストベルトに本を読む人は少ないはずだ。差別的なことを言いたいわけではなく、少なからずそれは現実だ。そう考えると、複雑な気分にはなる。

『炎と怒り――トランプ政権の内幕 』(早川書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

ところで話は変わるが、先ごろストリーミング配信サービスの「ネットフリックス」で『トランプ:アメリカン・ドリーム』というドキュメンタリー・シリーズがスタートした。現時点では「シーズン1」しか公開されていないが、それを確認したかぎりでも興味深いことがあった。

先にも触れたとおり、本書が明らかにするトランプの考え方は、「そもそも当選するとは考えておらず、しかし、落選しても売名にはつながる」というものである。

ところがこのフィルムでは、当選までの道のりが周到に仕組まれたものだとされているのだ。

はたして、どちらが正しいのか? はっきりとしたことはわからないが、少なくことも個人的には、本書の主張にこそ説得力を感じる。

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