アメリカ人はとてつもない過ちを犯したのか トランプ大統領の裏側を描いた暴露本の真偽

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これを読んだときに思い出したのは、僕自身が体験した小学校もしくは中学校時代の日常だった。

「誰にも言うなよ。あいつってさ、こう“らしい”んだよ」

「まじ? そうなんだ」

「だけど絶対に秘密だぞ」

「わかった」

(数日後)

「あの話、○○に言っちゃったよ」

「ざけんな、なんでだよ? 言うなって言っただろ! ○○なんかに話したら、すぐ広まるに決まってんじゃん!」

(さらに数日後、そのうわさは大多数が知ることに)

こうした話は、小中学生の間ではどこにでもあることだ。真偽も明らかでないような話が“なんとなく”流布され、あっという間にそれが周辺へと広まってしまうわけである。だが、子どものすることと考えれば、苦笑せざるをえないものの、かわいらしいことではある。

これがアメリカの政権内で起こっている恐怖

しかし問題は、これがアメリカの政権内で起こっているという事実である。それは苦笑できるどころか、悲鳴を上げたくなるように作り込まれたホラー映画よりも恐ろしいことだ。

もちろん過去にも、(誰とは言わないが)「こいつ、大丈夫なのかなぁ?」と感じさせる大統領は存在した。しかし、そういうダメなやつを、豊富な知識と経験を持つ首脳陣、もしくはその外側にいるプロフェッショナルたちがサポートすることによって、障害が乗り越えられてきた。ざっくり言うと、それが米国における政権のあり方だった。

ところが、今回ばかりは話が違う。なにしろ、上記の記述からも想像できるように、プロフェッショナルがいないのだ。普通の感覚からすればありえないことだが、本書を確認するかぎり、(まぁ、予想どおりではあるのだが)それがトランプ政権なのだ。

本書は、そうした考え方が間違いでないことを証明している。たとえば興味深いのは、「当選」に対する考え方である。

政治の世界では誰かが敗者となるのが定めだが、自分の勝利を信じない者はいない。勝つと信じていなければ勝利を収めることなどできない。しかし、トランプの場合は違っていた。(32ページより)
トランプは勝つはずではなかった。というより、敗北こそが勝利だった。
負けても、トランプは世界一有名な男になるだろう――“いんちきヒラリー”に迫害された殉教者として。
次ページ周辺の誰もが予想しなかった結果
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