軽減税率導入の代替財源はどう確保するのか

宮沢洋一・自民党税制調査会会長に聞く

自動車関連税制は税調の議論で注目されるところだ(撮影:尾形文繁)
年末の2019年度税制大綱策定に向け、今後、自民党税制調査会での議論が本格化する。2019年10月の消費増税に伴う軽減税率導入では、その代替財源が6000億円不足。消費増税時の駆け込み需要と反動減を抑制する政策としては、自動車関連税制での対応も必要だ。例年になく議論百出となりそうな中、宮沢洋一・自民党税制調査会会長に話を聞いた。

――10月5日に安倍晋三首相が予定どおり2019年10月に消費税率を8%から10%に引き上げると表明しました。ただ、飲食料品の税率を8%に据え置く軽減税率を導入するため、それによって生じる1兆円の減収をどう穴埋めするか、財源確保の課題が残っています。

年末にかけてそうとうに難しい仕事になる。まだこれという図が描けているわけではない。当然ながら歳出削減からどの程度出てくるかもあるし、これまで税制改正を2~3年やってきているので、その増収効果をもう1回精査しているところだ。「総合合算制度」(低所得者向けの給付金)の導入見送りで4000億円は確保したが、それ以外の6000億円については今後の精査を基に税制改正の中で検討していかなければならない。

歳出減については2019年度予算が対象

――税制改正による増収効果はどれくらい見込めますか。

たとえば、昨年、たばこ税について税率を1本当たり1.5円引き上げることを決め、今年10月から1本当たり0.5円ずつ3回に分けて段階的に実施している最中だ。これによる増収見込み額は税制改正時に出したが(平年度で1280億円)、粗い数字で精緻ではない。どの程度、恒久的な財源として計算できるかを、今、精査してもらっている。

――ほかに増収効果が見込めるものはありますか。

所得税では、給与所得控除の見直しなどを行った。これを精査してどう考えるか。税制改正時の増収見込み額は、配偶者控除および配偶者特別控除の見直しで2017年度に390億円、給与所得控除の見直しや基礎控除の逓減・消失化などで2018年度に730億円ある。

また今回、軽減税率やインボイス制度(適格請求書等保存方式、2023年10月から導入)が入ることによって、免税事業者(課税売上高1000万円以下)がある程度、課税事業者に転換する見通しだ。これによる増収効果がどうなるかということもある。軽減税率の財源確保のため、新たな増税を行うというより、まずは過去の増収効果の確認から始める。

――歳出についてはどう考えたらよいですか。

新たに歳出減を決めたものについては、軽減税率の財源としてカウントすることになっている。歳出については2019年度予算が対象になると考えてよい。

――ただ、たとえばそれで社会保障費を削るとなれば、何のための軽減税率なのかと批判が出そうです。

社会保障費については、高齢化に伴う自然増をどれだけ抑制できるか取り組んでいるが、それは別の話で、そこでの削減額を軽減税率の財源とすることはない。別の面で社会保障費の歳出減が決まれば、それは軽減税率の税源としてカウントできるが、どうなるか不明だ。

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