全米大ヒットの新作『ウォーリー』で”リアルアニメ”を極めたディズニー、次は手描きの頂点へ

全米大ヒットの新作『ウォーリー』で”リアルアニメ”を極めたディズニー、次は手描きの頂点へ

人類も見捨てた産業廃棄物だらけの未来の地球で、たった1台のゴミ処理ロボットが黙々と作業している。途方もなく孤独な地上最後のロボット「ウォーリー」の前にもう1台のロボットが現れる--。ディズニーの新作アニメ映画『ウォーリー』は6月末の公開以来、すでに世界中で4億5165万ドルを稼いだ。12月から日本でも公開される。

世界一有名なネズミ「ミッキーマウス」を例に挙げるまでもなく、ウォルト・ディズニー・カンパニーといえば手描きアニメの代名詞。1990年代前半にも『美女と野獣』『アラジン』『ライオンキング』といったヒット作を連発した。

だが、95年に初の長編フルCGアニメ映画『トイ・ストーリー』がその年の全米興収1位という大ヒットを記録したことで、流れが大きく変わった。誰も見たことのない映像表現が売り物のCGアニメを前に、手描きアニメは飽きられてしまった。手描きアニメの興行成績はジリ貧となり、ついに2004年の『ホーム・オン・ザ・レンジ』を最後に、ディズニーは手描きの長編アニメ制作から撤退してしまった。この瞬間、ディズニーの七十余年の手描きアニメの歴史に終止符が打たれた。

『トイ・ストーリー』をはじめ、ディズニー配給のCGアニメの大半を制作したのはピクサー・アニメーション・スタジオ。映画界の天才ジョージ・ルーカスの映画制作会社ルーカス・フィルムの一部門を前身とし、アップルの創業者スティーブ・ジョブズが買収した。両巨頭がタッグを組んだ奇跡のような会社だ。そこへ、ジョン・ラセターという新たな天才が加わり、すべてのピクサー作品の監督やプロデュースを手掛けることで、大ヒット作品が連発することになった。上の表を見てのとおり、同じディズニー配給のCGアニメでもピクサーが制作した一連の作品と、それ以外の『ダイナソー』『チキン・リトル』といった作品とでは、ヒットの次元が違う。会社名自体がブランド化したピクサーをディズニーが指をくわえて見ているはずはなく、06年にディズニーはピクサーを買収してしまった。

 近年のCGアニメは映像技術だけでなく、演出技法も進化している。『ウォーリー』の特徴はCGっぽさを排した実写のような演出。特に物語の前半では、主役のウォーリーが「機械」としてリアルに描かれ、しかも生身の人間まで出てくるので、アニメであることを忘れてしまいそうになる。同作品プロデューサーのジム・モリス氏(写真)は「ありうるかもしれない未来だということを、画面の力だけで観客に納得させたかった」と、演出の狙いを説明する。

『レッドクリフ』監督も日本でCGアニメを制作

リアルさにこだわる演出は細部まで徹底的している。たとえばウォーリーの起動音はパソコンのマッキントッシュのそれと同じ。「アップル社と掛け合って音源の使用許可を取った。最初はゴミ処理ロボットの起動音なんかにマックの起動音を使ってもらいたくないと彼らは考えていたようだが、最終的にはOKが出た」(モリス氏)。子供向けという枠組みは守りながらも、マニアにしかわからない細かい描写をさりげなく忍ばせる。大人をニヤリとさせるこうしたピクサーの演出技法やリアルな映像表現は『ウォーリー』で頂点に達したといってもよい。


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