アンダーアーマーが卓球新リーグで狙う勝機 ドーム・安田秀一CEOが分析する卓球の可能性

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「ラーメン屋さんはおいしければお客は入るけど、スポーツはすごい選手がいるっていうだけで人気が出るわけではありません。

Tリーグの”T”を全身を使って笑顔で表現した安田氏(撮影:尾形文繁)

他にも(観戦のお供になる)おいしい食べ物だったり、ノリノリになれるような音楽だったり、そういう人間の五感を刺激するような要素も観客を増やすには必要です。

プロ野球の阪神タイガースがなぜ人気なのかというと、阪神のファンっていうのは試合を観に行く人だけではなく、お酒を飲みに行ってる人もいれば、仲間とワイワイ楽しんでストレスを発散する目的で来場している人もいるわけですよ。ヒップホップの音楽じゃなくても『六甲おろし』で熱狂して、みんな大声で歌うわけです。

スポーツの本質的な楽しみ方っていうのはそこにあると思うんですね。アメリカでお酒が飲めないスポーツがあったら、逆に暴動が起きてしまいますから(笑)」(安田氏)

ブンデスリーガにおいても、試合中は太鼓を鳴らし、ビールを飲みながら大声で声援を送るのは当たり前。日本の卓球文化は真逆だ。

たとえば全日本卓球選手権での試合中、観客席からの試合撮影は禁止され、選手のプレーの妨げにならないよう静かにしなければならない。

現状では具体的な観戦規則は発表されていないため、今後、Tリーグではどのような観戦スタイルが定着していくのか。そこが継続的にリーグを盛り上げるうえでは重要な鍵となりうるだろう。

「形から入る」ビジネスモデルが競技力を向上させる

今回はTリーグの試合で着用されるユニフォームを供給する形で契約したドーム。これまで卓球に関する商品開発に着手したことはなかったが、その中でも「アンダーアーマーというブランドの軸がブレることなく、その特徴や理念を存分に活かしたユニフォームづくりを目指した」と、安田氏は説明する。

ユニフォームのコンセプトを語った安田氏(撮影:尾形文繁)

「卓球用に少しだけカスタマイズはしましたが、僕らの強みである『アスリート目線』、つまり競技者目線の機能特化を目指したユニフォームを開発しました。

そういう意味では、僕は法政大学アメフト部総監督の経験もありますし、アメリカの創業社長のケビン・プランクもメリーランド大学のアメリカンフットボール選手でしたから、よりスポーツをする側に立った商品開発ができるわけです。

こうした強みを活かしながら、ユニフォームの生地やフィット感っていうのはこだわりましたね」(安田氏)

そして、その「アスリート目線」に立ったユニフォームづくりは、デザイン・シルエットにも表れている。

松下氏からも「ぜひ、カッコよくしたい!」という要望があったといい、男性はカッコよく、女性は可愛らしいデザインを追求。特に女性スポーツのファッション性に関しては、安田氏は強い想いを抱いていた。

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