「育児と仕事の両立」に若手が不安を持つワケ

自力で乗り切るしかないのだが…

私にも子供がいますが、両立がどうとか考えないうちに生まれ、仕事と育児とめちゃくちゃな負荷になりましたが、やらねばならないことはやらねばならず、やっているうちになんとかなりました(育児中に起業までしています)。やればできるのです。

最近の「働き方改革」的文脈でいくと違和感ある意見かもしれませんが、私は、若手が不安がるからといって、それをそのまま真に受けて、いろいろ配慮して仕事の負荷を減らしてあげる(育児の負荷は減らせませんので)のが本当に良いのかわからないと思います。

うまく仕事の負荷を減らしてあげられれば良いのですが、多くの場合、そこには重要な仕事やチャンスの多い仕事からの排除につながる可能性があります。不安に駆られている方にとっては、短期的には仕事の負担を軽くしてもらったことを感謝するかもしれませんが、後になって振り返って、それによって同期から出世が遅れたり、自分のなりたいものになれなかったりしたと感じたら、うらみに思うかもしれません。

ギリギリまでは放置してはどうか

もちろん、若手の様子をよく見て、本当に限界なら、手を差し伸べて負荷を減らしてあげるべきでしょう。しかし、そうでなければ、ギリギリまで注意深く見守ってあげるのがベストなのではないかと思います。

臨床心理学の大家であった故・河合隼雄先生がおっしゃっていた「そばにいて見守るが、全力で何もしない」ということです。まずいときにはすぐにサポートする準備をしておきながらも、ギリギリまでは何もしない。

そうすることで、若者は自分の持てるポテンシャルを最大限発揮して、不安と言いながら、なんとか自力で育児と仕事の両立を乗り越えていきます。人は、もうダメかもと思うレベルの目標を乗り越えることによって成長するといいます。仕事と育児の両立という問題についても、同じことが言えるのではないでしょうか。

文:曽和利光/株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
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