日本が「テクノロジー後進国」感半端ない理由 中島聡×夏野剛「エンジニアは自虐をやめろ」
「Windows95を設計した日本人」中島聡氏と、「世界初のモバイルインターネット i-mode を世に送り出した男」夏野剛氏が発起人となって設立したNPO、シンギュラリティ・ソサエティ。
「シンギュラリティ」という言葉の解釈には諸説あるが、中島氏は「人工知能が人間を置き去りにして限りなく進歩してしまうプロセス」と定義し、「私たちは既に、そのプロセスの真っ只中にいる」と話す。
しかしながら、テクノロジーを理解し、最大限に活用できる真のリーダーがこの日本にはどれほどいるだろうか。技術のさらなる進化を正しく導けるエンジニアはどれほどいるだろうか――。
「このままではいけない」そんな危機感が、“テクノロジーの歴史を変えた男”二人を立ち上がらせた。
もはや、日本の“テクノロジー後進国”感たるやハンパない
――今回、なぜこの2人がタッグを組んだのでしょうか?
中島:過去の笑えるエピソードを語り始めたらキリがないほどあるんですが、真面目にお答えすると、過去30年ほどの技術の歴史が関わってきます。
この間、大ざっぱに言えば「PC→インターネット→モバイルインターネット」が世の中を変えてきたし、その象徴が「Macintosh→Windows95→iモード→iPhone」でした。奇しくも私と夏野さんは、この4つの内の2つに深く携わってきた人間です。
シンギュラリティ・ソサエティという「未来」のための場を創ろうというとき、私にとってどうしても一緒にやりたいキーパーソンが夏野さんでした。
夏野:中島さんと私はそれぞれ別の環境で生きてきたけれど、たしかにお互い歴史の節目に深く関わってきました。そして、だからこその共通認識がある。それは「日本をこのまま放置していたら、未来なんて創れっこないよね」というもの。
先日、2週間の休日をフロリダで過ごしてきたんですが、アメリカと日本の差というものを、ありとあらゆる場面で見せつけられました。とにかく、アメリカでは「スマホで出来ないこと」が何一つ無かったんですよね。先進技術が生活に浸透している。
どんな小さなレストランだって、すべてオンラインで予約できるし、通りに出てタクシーを探すよりも、ウーバーで呼び出した方が圧倒的に早く車に乗れる。Wi-Fiだって大体の場所で使えるし、面倒なログインとかも無い。この程度のことでさえ、驚かされてしまうわけです。もはや、日本の“テクノロジー後進国”感ハンパないですよ。