日本が「テクノロジー後進国」感半端ない理由

中島聡×夏野剛「エンジニアは自虐をやめろ」

夏野:変わり身の早いところは、この2人の共通点。ずいぶん早いタイミングからテスラに夢中ですしね。

中島:変わり身のはやさって、結構大事なことですよね? 2007年の時点でiPhoneの素晴らしさに気づいた人の多くは、今テスラの魅力にも気づいているはず。新しくて面白いものに飛びつくようなところがなかったら、世の中を変える存在にはなれないと思います。

夏野:そこですね。欧米人の多くは変わり身が早い印象があります。「良いモノは良いんだ。何がいけない?」という感性が根付いている。逆に日本の人、とりわけ自身がモノ作りに携わっている経営者とか技術者なんかは、「食わず嫌い」で新しいモノに否定的だったりしないでしょうか?

中島:「良いモノは良い」というより「変わらないモノが良い」みたいな発想だよね。今までやってきたことを続けていくことが大事だと思っている。でも、そんなの大間違いです。

「逃げ切り世代」に自分の人生を預けてどうする!?

――「平成」ももう終わろうとしているのに、多くの人がまだ「昭和」を抱えて生きているとお二人は感じているようですね。

夏野:はい。もういい加減、「昭和」をぶっ壊せ、と言いたい。

夏野 剛/一般社団法人 シンギュラリティ・ソサエティ 発起人。早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京ガスに入社。ペンシルベニア大学ウォートン校でMBAを取得後、ハイパーネットを経てNTTドコモに参画すると、『i-mode』の立ち上げに携わって全世界から注目を浴び「時代の顔」に。多数のジョイントベンチャーも成功に導き、2005年には執行役員就任。2008年ドコモ退社後は、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授に就任(現任)。セガサミーホールディングスなど多数企業の社外取締役にも就任。2009年にはドワンゴの取締役(現任)としてニコニコ動画の黒字化に携わった。近著に『自分イノベーション』(総合法令出版刊)、『誰がテレビを殺すのか』(角川新書刊)がある(写真:エンジニアtype)

中島:少し前の日経新聞に書かれていたんです。経団連で主要なポジションに就く企業経営陣が皆、転職経験のないサラリーマン経営者だと。

「昭和」の時代に会社に入った人たちが、起業も転職も経験しないまま30年を過ごして、「平成」が終わろうという今も日本経済の中枢を握って、意志決定をしている。このままでは「失われた30年」どころか、いつまで経っても日本に未来はやってこないよ。

夏野:そういう「逃げ切り世代」の経営陣には、いまだにガラケーを使っている人もいて、スマホどころかインターネットだってまともに使えない人も多い。

エンジニアの皆さんは、そんな人たちに自分のキャリアや人生を預けてしまってどうするの? それでいいの?

中島:最悪だね。そういう世代に何を言っても、逃げ切るだけだからね。

夏野:そう。だから僕らは逃げ切れない若い世代に訴えかけて、エンパワーしていきたい。

中島:人工知能が人間を超えると言われているのが2040年ごろ。その頃には逃げ切り世代はとっくにリタイアしていなくなっていますし、今の20代は働き盛りの40代を迎えます。その時になって「テクノロジーに使われる身」になっているのか、それとも「テクノロジーを操って、シンギュラリティの時代に相応しい人間」になっているか。違いは恐ろしく大きいわけです。

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