チョコと「みそ・昆布・梅干し」の不思議な関係 お酒とのマリアージュが前提のチョコとは?

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「サンプルを有料にすることで、本気で取引を考えているバーのみに限られるのが利点です。契約をしないので、へたをすると来月から注文がゼロになってしまう、ということも考えられるわけですが……」(須藤氏)

それでも、注文は途切れることはない。須藤氏も、「百貨店の高級チョコレートよりは気軽に注文できて、レベルは高い」と、商品に自信を持っている。

魅力はなんといっても、商品の独自性、そしてバーでしか食べられないというプレミアム感だ。お酒とのマリアージュに特化したチョコレートで、みそはウイスキーに、梅干しはシェリーにといった具合に、合うお酒がそれぞれ異なる。お酒と素材の相性は、共通の「香気成分」で見極め、そこから商品のイメージを膨らませていくという。食材に含まれる有機化合物を調べて、近い物質を含む食材は味や香りの相性がよいことに気づいたそうだ。

バー専用チョコレート。撮影のため特別に化粧箱に入れてもらったが、取引先にはタッパーで納品(筆者撮影)

こうした付加価値の高い商品は、取引先のバーにとっても、新規客を呼び込むきっかけになったり、お客とのコミュニケーションツールになるなど、メリットが大きい。またオファーがあれば須藤氏自身がバーに赴き、マリアージュセミナーなどのイベントを行う。

「普段姿を見せない作り手から直接話が聞けたり、実演もありということで、喜んでいただいています」(須藤氏)

また、須藤氏のチョコレートを提供することにより、「女性客の注目が高まった」との声もあるという。

バー専用チョコレートの作り方

チョコレートの見た目も特徴的だ。バーの雰囲気に合うよう、高級感があって甘すぎないデザイン。さらに、宝石のように内側から光を放ち、スイーツとしての華やぎもある。どのように作られているのだろうか。

一般的なチョコレート作りでは、まず、材料となるクーベルチュールチョコレートを加熱して溶解。そのあと「テンパリング」という温度調節を経て、チョコレートをなめらかな状態にする。その生地を型に流し込み、冷やし固めて完成だ。

次ページ丁寧なテンパリングが作り出すなめらかな口当たり
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