ゴルフのスコアが上がる「新スタイル」の潮流 「スクランブル方式」や「ジュニアリーグ方式」

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ゴルフ場には「レディースティー」や「シニアティー」があって、距離を短くすることでコースをやさしくしようとしているが、それでも飛距離が足りない人が多い。シニア層がゴルフをやめていく理由に「年を取るごとに飛距離が落ちてパーが取れなくなって面白くない」というのがある。これらの方式だと、知らず知らずに「公平感」も得られるだろう。

ゴルフを公平に行うために、ハンディキャップというものがあり、その人が持つハンディキャップに応じて、ホールの難易度からパー4のホールにハンディキャップがついて「パー5」「パー6」という形になる。

ただ、会員権を持っていなかったりオフィシャルハンデによる出場制限のある競技に出ないアマはハンディキャップを取得していない人が圧倒的に多いのが現状だ。

大手ゴルフ場運営会社によると「スクランブル方式」を通常のラウンドに応用しても特に問題はないと話していた。料金も通常と同じ。むしろ、4人があっちこっちに打ち込むよりは、時間短縮につながる可能性があるとしている。新たに「ジュニアリーグ方式」が加わっても同じような効果があるだろう。

ゴルフ人口減少で底辺拡大に悩むゴルフ業界にとっても、この方式はゴルフをやめないようにするために使えそうだ。また、感じていた通り、子供たちにもゴルフを始めるきっかけづくりにもなるだろう。

まずは子供たちにゴルフを覚えてもらうきっかけに

今年、ジュニアリーグに関して米国と契約を結んだPGAでは、子供たちのゴルフ参加に結び付けようと、PGA会員(プロゴルファー)がチームの指導者(キャプテン)となって、地域でジュニアリーグのチームを作り、将来的に米国のように大会を開催していこうとしている。

競技ゴルフとは違う、楽しみとしてのゴルフの底辺拡大を目指している。ゴルフを覚えて、そこから競技ゴルフに入っていくルートにもなる。

今のところ、まだ本格的に全国で広める準備が整っていないため、まずはモデル地区をつくり、そこでPGA会員が関係するジュニアのゴルフスクール生らを中心にチームをつくり、実際にやってみて、それを参考に広がっていくようなプランを描いており、HPなどで情報を発信していくという。

シニア層から女性、子供まで幅広くゴルフを楽しめる環境づくりに、こうした新しい方法を活用したい。どんな競技になるのか、興味のある方は10月7日14時からBS日テレで「PGAジュニアゴルフ選手権」の特集番組も放送される。見てみるのもいいだろう。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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