また、モーターアシストに加えてパワートレインがスムーズになりドライバビリティが向上したことも評価したいポイントだ。ガソリン車(2.5L-NA)のほうが絶対的なパフォーマンスはあるものの、発進時や巡航から加速するときはエンジンの応答性の悪さをCVTで無理やりカバーするので、スムーズに走らせようとするとアクセルコントロールが非常に難しいうえにエンジン回転も必要以上に高い回転を使いがちで、結果としてパワートレインの洗練度がイマイチだと感じていた。
一方、e-BOXERはモーターの「応答性の良さ」「細かい制御が可能」という特性を上手に活用することで、ガソリン車で感じたネガな部分が上手に消えている。
当然、アクセルOFFやブレーキングによる減速エネルギーを電気に変換してバッテリーに貯めるが、回生ブレーキはそれほど強くなく自然な減速感で、ブレーキはタッチが若干硬質だが、ガソリン車と大きくは変わらない自然なフィーリングであった。
今回、川崎(東扇島)から横浜(みなとみらい)まで渋滞ぎみの一般道+首都高速をガソリン車とe-BOXERを同じペースで走らせてみたが、燃費はe-BOXERのほうが30~35%くらいよかった。
乗り味はフラッグシップのアウトバックよりも上
フットワークはどうか? 先代に対して「違和感のないシットリしたステア系」「操作に対して応答遅れがなく正確にクルマが動く」「4つのタイヤにシッカリ仕事をさせる」「ストローク感の高いしなやかさ」「アタリのやさしい快適性」「抜群のロールコントロール」などの基本性能の高さは全車共通。アドバンスはそれに加えて「シットリしたサスの動き」「安心感の高い接地感」「前後バランスの良さ」「前後左右方向ともに無駄な動きを抑えたハンドリング」などがプラスされている。例えるなら、先代で限定発売されたSTIコンプリートカー「tS」のような動的質感がすでにノーマルに備わっている。
e-BOXERは、ガソリン車よりも120kg重くバッテリーを搭載する関係で前後バランスも異なるが、実際にステアリングを握ったかぎりはクルマの動きにネガを感じることはなかった。つまり、乗り味はフラッグシップのアウトバックよりも上で、現在のスバルSUVシリーズトップと言ってもいい。
これはサスペンションのセット違いだけでなく制御系(アクティブ・トルク・ベクタリングやACT-4!?)などにも手が入っているような気がする。布目氏に聞くと「ガソリン車のセットアップの考え方は先代モデルからの延長線上ですが、e-BOXERはこれまでとは違う考え方を盛り込んでいます」と語るが、その内容を聞くとまだ秘密らしい。
ちなみにオフロード性能は最低地上高220mmも含めてガソリン車とまったく同じで、むしろ実用域のドライバビリティが上がっている分コントロール性は高く、見た目に似合わず走破性は高いそうだ。
これらの観点から筆者の新型フォレスターのベストバイは「アドバンス」である。これまでなら「価格がちょっと」というエクスキューズがあったが、今回はガソリン車(プレミアム)+7万5600円と絶妙なプライス。
もちろん、e-BOXER自体はもっと進化させる必要もあるが、ニッチな商品ではなくメインストリームとして育てていくべき。そう考えるとガソリン車がまだまだ主役の北米向けはともかく、日本向けはe-BOXERが中心のラインアップ構成でもいいと思っている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら