パワートレインは145馬力/188Nmの2L直噴の水平対向4気筒(FB20)にリニアトロニック(CVT)に内蔵される13.6馬力/65Nmのモーターとの組み合わせる「パラレルハイブリッド」である。機構的には先代XVハイブリッドと同じだが、システムは小型化と効率化のために多くの部品が刷新。バッテリーはニッケル水素からリチウムイオンバッテリーに変更による電圧アップでスペックの変更はないが実用出力はアップしている。
ちなみにスバル自身はこのe-BOXERを「ハイブリッド」ではなく「モーターアシスト」と位置づけている。電動化の力を燃費/環境性能だけでなくドライバビリティやドライビングファンを引き上げるために使うという考え方なのである。
目には見えない“深化”
プラットフォームはインプレッサから採用されたSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用。SGPはディメンジョンが不利なSUVでベストを目指して開発されたものであると同時に、電動化を見据えた設計が特長だ。インプレッサ/XV開発時の知見やフィードバックによるアップデートも行われ、われわれの目には見えない“深化”も行われている。絶対的な剛性だけでなく剛性バランスや力の流れも考慮したボディ、理想のジオメトリーでよく動くサスペンションは共通だが、セットアップはアドバンス専用だ。
スバルお得意の安全支援システムは、レヴォーグから展開の「アイサイト・ツーリングアシスト」に加えて、新たにスバル初採用となる「ドライバーモニタリングシステム」をアドバンスに標準装備。これはインパネ上部のマルチファンクションディスプレイ付近にあるカメラを用いて、ドライバーのわき見/居眠りを推定して注意を促すことで安全運転をサポートする機能だが、それだけでなく登録したドライバーを顔認証によって判断し、シートポジションやドアミラー角度、空調設定の自動調整も可能にしている。
では、実際に乗ったらどうなのか? まずはSIドライブ「I」でスタート。アクセル開度の少ないところでもスッと動くのと、どちらかといえばドーピングされたトルク感ではなくエンジンに自然に上乗せされたアシストで、排気量2.2~2.3LのNA(自然吸気)エンジンのような感覚だ。
逆にSIドライブ「S」はドーピング的なアシストで、アクセルを踏んだ瞬間からグッと立ち上がるトルク感はまさしく「電動ターボ」と言ってもいいくらいの力強さである。新型はターボがラインアップから消えたが、実用域だけで見ればe-BOXERが従来のターボの役目を担っている部分もあるかも!?
ただ、どちらのモードもモーターアシスト効果が高回転まで続かないのも事実だ。これはモーター出力やバッテリー容量の問題である。ちなみに、開発責任者の布目智之氏は「今回はあれもこれもと欲張らずに、多くの人が使う実用域での性能にこだわった結果です。実はEV走行もさまざまな条件がそろわないとなかなかしませんが、それも割り切った性能の1つでした」と語っている。
ちなみにエンジン再始動はガソリン車よりも確実にスムーズだったのだが、止まるときにエンジンがブルンと震えるのがわかるくらいの振動を感じたのがちょっと気になった。これは試乗車の個体差なのか? それとも……。
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