日本では、大学野球もプロ野球も、独立リーグも木製バットを使用する。社会人には一部金属バットが使える大会もあるが、大部分の大会では木製バットになっている。
高校球児たちは、海外に行かなくても、どのレベルで野球を続けようとも、「金属と木製のギャップ」に直面することになる。
中には日本ハムの清宮幸太郎のように高卒1年目で1軍4本、2軍17本と本塁打を量産する選手もいる。しかしそういう選手は一握りだ。金属バットの特性を利用して本塁打を打っていた選手の多くは、木製とのギャップに苦しむのだ。
U18の韓国戦、台湾戦で木製バットで苦しんだ日本選手は、彼らの近未来の姿を先取りしていたともいえる。
「ガラパゴス化」に歯止めをかけるのは今
「球数制限」や「試合開始時間」「試合間隔」など、日本の高校野球には改革すべき課題は多い。しかしそれぞれさまざまな事情があって、事態は一向に進展しない。金属バットの弊害は、高校生の国際大会のたびに識者やメディアも指摘しているが、これも改善の兆しはない。
世界の青少年野球が「リーグ戦中心」で「球数制限、登板間隔制限」を行い、木製バットや反発係数の低い金属バットで野球をしている中で、日本の高校野球だけが「トーナメント中心」で、球数も登板間隔も無制限の「投げ放題」で、反発係数の高い「金属バット」を使用している。まさに「ガラパゴス化」が進行しているのだ。
このままいけば日本と世界の野球は、乖離が進む一方だ。
金属バットの改定は、高校に経済負担を強いることになる。また高校野球を支援している日本のバットメーカーにも大きな影響を与える。下手をすると海外のBBCOR仕様のバットのメーカーに市場を奪われかねない。
しかし、このまま放置できる問題ではない。それに改革にはコストがつきものだ。
せめて、猶予期間(2、3年またはそれ以上)を設け、この間にメーカーに開発を促し、ゆるやかな移行を図ってはどうか。この秋にも具体的な議論が起こることを希望する。
(文中一部敬称略)
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