「高校野球200年構想」のどこか残念な理由 次の100年に向けた理念、コンセプトはどこに

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2018年夏に甲子園球場で行われる全国高校野球選手権大会は第100回を迎えます(写真:m.Taira / PIXTA)

今、日本のスポーツ界は日大アメフト部の問題で騒然となっているが、そんな中で高校野球の未来を考える「高校野球200年構想」を協議してきた日本高校野球連盟(高野連)、朝日新聞社、毎日新聞社は5月16日、「次の100年」に向けた行動計画と具体的な24事業を発表した。これは画期的なことだ。

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朝日新聞によると、行動計画では、野球未経験者にアプローチする「普及」、野球経験者に競技を継続してもらう「振興」、故障によって競技を離れる人を減らす「けが予防」、指導者や選手の技術向上を目指す「育成」、目標を達成するための「基盤作り」を5大目標として掲げた。

公表した200年構想の中身

200年構想の5大目標と24事業
【普及】
○ 子ども向けティーボール教室の開催
○※200年構想のプレーボールイベント開催
○※ティーボール用具を都道府県連盟に配布
○※ちびっ子ベースボールフェスティバルの開催
 ※幼稚園、小学校の教諭向けに講習会を開催
【振興】
○ 小中学校との連携事業
○※野球メソッド、野球手帳の作成、配布
 ※小中学生のための野球教室の開催
 ・高校生と小中学生の交流イベントの開催
【けが予防】
○ けが予防講習会の開催
 ・高校生対象の肩ひじ検診の実施
 ・小中高生への継続的な肩ひじ検診の実施
 ※けがの予防やセルフチェックのための手引書、DVDを製作
 ・都道府県連盟が作成する野球手帳の製作を支援
【育成】
 ・栄養講座の開催や公認スポーツ栄養士の派遣
 ・審判委員の育成
 ・指導者の育成
 ※栄養指導のモデル作り
 ※体作りを支援するコンディショニングノートを作成、配布
 ・選手の育成
【基盤作り】
○ 都道府県単位の協議会設立
○※情報共有のためのシステム作り
 ・関東、近畿などのブロック単位の協議会、連絡会の開催
 ※市町村単位で作る協議会のモデル事業
太字カッコ内は5大目標。○はリーディングプロジェクト、※は3者主体事業、無印は都道府県連盟主体事業

筆者は「野球離れ」に憂慮するプロ、アマ関係者とSNSで意見交換をしているが、この「200年構想」は、おおむね好評だ。

「数年前では考えられない画期的なことだ」

「ようやく”野球離れ”に対して踏み込んだ姿勢を示してくれた」

と驚きと喜びの声が上がっている。

高野連は、日本最大の野球競技者団体だ。傘下のチーム(学校)は4000近く。部員数は15万人に及ぶ。この巨大な団体が「野球離れ」に取り組むという。まさに「山が動いた」というべき、出来事ではある。

ただ、これが「200年構想」本体だというのであれば、もろ手を挙げて絶賛することはできない。

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