「いま日本で使われている金属バットの弊害は大きいと思います。日本の金属バットは本当によく飛びます。年々、素材のいいバットが出てきて、飛距離は伸びています。
でも、ドミニカ共和国では16歳以前から木のバットを使っています。アメリカは大学まで金属バットを使っていますが、反発係数に制限があります。日本のバットに比べたら全然飛びません。僕も打たせてもらいましたが、木製バットに近いくらい飛ばなかった。しっかりボールを引き付けて強いスイングをしないと飛びません。
日本では昨年、夏の甲子園の1大会のホームラン記録が更新されました。もちろん優秀な打者が記録を破ったのでしょうが、圧倒的にバットのおかげで飛んでいる姿も目にします。
これは子どもたちのためになっていないと思います。(プロへ進んで)木製バットで苦労するのは子どもたちです。事実、苦労している選手を何人も見ていますし、僕も木製バットになれるまでに時間がかかりました」(筒香)
反発係数が高い金属バットは日本だけ
U18日本代表は、韓国戦では13本、台湾戦では11本のフライを打ち上げた。選手たちは、金属バットの感覚でボールを打ち上げていたのだろう。
しかし手にしていたのは木製バット。打球は選手の思惑どおりに伸びていかず、野手のグラブやミットに収まった。ボールを体の前のほうでさばく打法も目に付いた。金属バットならばそんな泳ぐようなスイングでも打球は飛んでいくが、木製バットではその打法は通用しない。
韓国戦、台湾戦の2試合で日本が打った安打は7安打だったが、長打は三塁打1本、二塁打1本だけだった。
台湾の高校野球は2004年から木製バットを使用している。韓国の高校野球は以前は金属バットだったが、2000年から木製バットにした。そんな中で、日本だけが金属バットをいまだに使用している。
筒香も指摘するように、日本と同様、金属バットが普及しているアメリカでも2012年から反発係数が木製バットと同じ程度になるバット(BBCOR規定=Batted Ball Coefficient of Restitution)しか使用できなくなった。
アメリカではルイビルやローリングス、アディダスなど各社がBBCOR仕様のバットを発売している。現在ではBBCOR仕様でないバットは輸出用以外にはほとんど作られていない。
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