高校野球は「金属バット」でガラパゴス化する U18アジア選手権で韓国・台湾に敗れた代表

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筆者は毎年、春夏の甲子園で観戦しているが、最近目立つのが、アッパースイングぎみでボールをすくい上げる打者が多いことだ。「高校野球といえばダウンスイング」という常識が崩れつつあることを感じる。

折しもMLBでは「フライボール革命」が起こっている。ボールを一定の角度に打ち上げることで本塁打を量産しようという動きだ。昨年はヤンキースのアーロン・ジャッジがこの打法で52本塁打を打って新人王を獲得した。この動きが日本の高校生にも影響を与えているのだろう。

また、最近の有力高校の野球部には筋トレ設備が完備されている。選手はここで筋トレをして、パワーアップに努めている。

高野連は2001年秋に金属バットの打球が速すぎるとしてバットの重量を900g以上にするなど一定の規制をしたが、今の球児たちは筋トレでその規制をやすやすと乗り越えて、打球の飛距離を伸ばしているのだ。

筒香嘉智も金属バットの弊害を指摘

「フライボール革命」の影響を受けるのも、筋トレに励むのも、決して悪いことではない。今の野球界のトレンドに沿った動きではある。

しかし残念なことに、彼らが手にするバットは金属バットなのだ。反発係数が高いうえに、スイートスポットが広い。高校生たちはこの金属バットで本塁打を量産しているが、それはアメリカで起こっている「フライボール革命」とは似て非なるものになっている。

極端な表現を使うなら甲子園の高校野球ではほかの野球ではありえない「フィクションのようなホームラン」が量産されているのだ。

金属バットの弊害については、当コラムで今年の1月に紹介したDeNA筒香嘉智『DeNA筒香「球界の変わらない体質」にモノ申す(2018年1月16日配信)』も、その折に明確に述べている。

2018年1月、堺ビッグボーイズのイベントで打撃を披露する筒香嘉智(筆者撮影)
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