こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
あなたが「身近な相手との関係性をよくしたい」と思ってやっていることが、実は、関係を悪くすることにつながっているかもしれません。
たとえば、友人から「この前、こんなことがあって本当につらかった」という話を聞いたと仮定します。自分も同じような経験をしていたりすると、「わかる! すっごくよくわかる!」と反応してしまうことがあると思います。これを、相手の気持ちに寄り添った、相手を理解する適切な対応ととらえる人が多いのではないかと思いますが、実は違います。
「わかったような感覚」に一体感を覚える
「わかる!」という気持ちは、同感と言われるもので、相手の気持ちではなく、相手の話を聞いたときの「自分の気持ち」です。
自分の過去に起こった出来事や経験が、相手の話の内容と「場面や状況」「気持ち」に合致したときに、自分の記憶や気持ちが呼び起こされて、それを基に「わかる」と表現します。
「同じような」体験や出来事であっても、「同じ」ということはなく、それと同様に「同じ気持ち」には決してなりません。その人その人が出合うことや感じる気持ちにひとつとして「同じ」ものは存在しません。
それなのに、いかにもすべてを悟ったような「わかる」という表現は、たとえ間違っていたとしても「わかったような」錯覚に陥ってしまいます。
日本人は、「察する文化」の中で生活しているので、「わかったような感覚」に一体感を覚えやすく、話をした相手も受け取ったほうも「同じ感覚」を共有したような錯覚に陥ります。これは、心理的な距離を縮める効果もあり、本来、時間をかけて培っていく「安心」や「信頼」に類似する気持ちを、一時的に起こさせます。そして、それと同時に、「(実際は、そうではないが)わかってくれた」相手に対し、依存感情が生まれます。
人間関係は、多かれ少なかれ依存関係で成り立つともいえるので、「依存関係」自体が悪いわけではありません。しかし、依存関係は、同時に「攻撃感情」を伴うものでもあるのです。
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