無料のドーナツに並ぶ人は"トク"をするのか 節約のつもりで浪費する人の「残念な思考」

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今はどこもかしこもポイントだらけで、しかもご丁寧に「もうすぐ期限が切れますよ!」とスマホに通知まで送ってくる。よほどの強い気持ちがないと、この誘惑には勝てない。

無料のドーナツをもらいに行く

NHKの朝ドラでこんな場面があった。ヒロインの実家である食堂に訪れたお客が、会計時に「五平餅1本無料サービス券」をもらい、それを手に系列店を訪れる。「お飲み物は何にしますか?」と言われて、「それもサービス?」と聞くと、ドリンクはもちろん有料。商売上手だね、といったやり取りが繰り広げられた。

無料をエサにほかの出費を誘う、これぞまさに「ついでにいかが商法」の典型ではないかと、テレビの前で深くうなずいてしまった。

”日本人の美徳”が落とし穴に

「ドーナツ1個、だれでも無料でもらえる」というたぐいのキャンペーンがあるが、これをトクだと思ってはいけない。日本人の美徳として、「タダのものをもらうだけで帰るのは悪い」と考えがちだからだ。

家族がいれば、家族の分も買うだろう。その場で食べるなら、それこそ一緒にコーヒーくらいは飲みたい。ドーナツ1個が無料どころか妙に高くつくことになる。これを防ぐには、「無料のものをもらうだけ」と貫き通す強い気持ちを鍛えるしかない。それか、その店に近づかないかのどちらかだ。

利回りがいいとの理由でデパート積み立てをする

銀行預金の金利がほぼゼロのなか、注目を浴びているのが「友の会」、いわゆるデパート積み立てだ。毎月定額を1年コースで積み立てると、さらにひと月分が上乗せになった金額が満期に受け取れるのだ。たとえば1万円ずつ1年間積み立てをすれば、受け取れるのは1万円がプラスされた13万円。これはおトクだと話題になっている。

しかし、本当にそうなのか。多くの場合、友の会の積み立てで受け取れるのは現金ではなく、その金額がチャージされた買い物カードだ。それも、積み立てたデパートやその系列店で使うのが原則だ。つまり、普段からそのデパートを利用して年間12万円も買っていない人にとっては、買い物でトクするとは言い切れない。

今どき、モノを安く買うにはいろんな手段があるのに、わざわざデパートを利用しなくてはならないのだから(なお、それを使って商品券やギフト券・ビール券、収入印紙や切手などを買うことはできない。換金できそうなものはNGなのだ)。

とはいえ、デパートの包み紙にステータスを感じる場合もあるだろう。たとえば贈り物。お中元・お歳暮、母の日や父の日、両親の誕生日など、そこから送ることで喜ばれる相手や用途があるなら、まず年間の回数と予算を計算してみよう。

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