無料のドーナツに並ぶ人は"トク"をするのか 節約のつもりで浪費する人の「残念な思考」

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もし5000円コースで積み立てると6万5000円、1万円コースだと13万円がバックされる。どうしても友の会で積み立てをしたいなら、それらで使い切れるかを検証してからのほうがいい。でないと、使い切り目的で余計な買い物をして、デパートを喜ばせるだけの結果になる。

レジャー施設の年間パスポートを買う

テーマパークやレジャー施設の年間パスポートを買うと、何度も入場できたり割引特典があったりする。そこで、よく聞くのは、年に○回利用すれば元が取れますというフレーズだ。

「元を取ろう」が浪費につながる

私たちは払ったコストに対しては必ず元を取りたいと考えるもの。コストコの会員になれば、その恩恵を味わい尽くすためにせっせと買い物をし、還元率の高いカードに乗り換えれば払った年会費を取り戻すべく、カード払いの回数を増やすようになる。

年間パスポートがあるからとそのレジャー施設にせっせと通えば、そこで食事もするし土産も買うだろう。楽しい時間はプライスレスだ。しかし、元を取ることにこだわりすぎると、逆に出費は増えていくという逆説的な現象が起きる。

それにこだわりすぎると楽しいレジャーがかえって窮屈になる。好きな時に、好きなところに出かけ、その際に使える割引制度を探すほうが気楽だろう。

安いからという理由で買う

節約のために安いものを買って何が悪い、という声が上がりそうだ。もちろん、それは正しい。ただ、安いからという理由で買ってはいけない。欲しいものが安くなっているなら、ぜひ買うべきだし、それが正解だ。しかし、「安いから買っておこう」は順序が違うだろう。

スーパーに買い物に行くと、価格が安いものを見つけると、あれこれ買いがちだ。結局、本当に使うか使わないかわからない食材までカートに入れてレジを通過する。100円ショップも同様だ。「100円だから、まあいいか」と、ついで買いしてしまう人は多い。どちらのケースも、「これは本当に必要なのか、自分はこれが欲しいのか」よりも「安いんだからついでに買っておくか」が優先されている。「今だけ半額だから」「スーツを買うとスラックスが1本無料になるから」。そういう動機の買い物も邪道だろう。

これの類似型が「割安だから、せっかくなら大袋を買っておこう」というパターン。その商品を手にしたとき、「ついでに」「せっかくなら」「そのうち使うかも」というフレーズが頭に浮かんだら、たぶん買わなくても困らないものだ。安いものから買うのではなく、必要なものや欲しいものから買う、という順序で考えてみよう。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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