日本が少子化でも「ダントツ」で豊かになる道

コマツ・坂根相談役インタビュー<後編>

坂根:IoT化が進むと、いろいろなことが変わってきます。たとえば、ダンプトラックの数です。捨てる土砂の量を最小化することができ、かつ必要最適数がわかるので、手配する台数は大幅に減ることになります。そうなると運転手の数も少なくて済むのですが、運転手は以前より効率的に働けるわけですから、実収入が増えるはずです。

今は全国で運転手不足といわれていますが、国全体の労働力が足りないといわれるなか、彼らをほかの仕事に振り向けることができるのです。IoT化やAI化が進んでいく過程では、従来あった仕事を失う人が出るのはやむをえないところですが、逆にいえば、IoTやAIは日本の雇用を動かすチャンスといえるわけです。日本型の雇用形態でなかなか人が動かない労働市場に変化をもたらす、大きなきっかけになるでしょう。

中原:アメリカではアップルやアマゾン、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトといったIT企業による利益の寡占化が進んでいます。有望な未上場企業の多くはこれら4社に買収される事態となっていますし、起業する若者たちの多くもこの4社に買収されることを目標にしているといいます。日本の企業はこれら巨大なプラットフォーマー(基盤を提供する事業者)にどのように対抗していけばよいのでしょうか。

「一体型プラットフォーマー」が力を持つ時代に

坂根:現場を知っている私たちからすると、ソフトだけでは絶対に競争に勝てない、精度のいいハードがないと勝てないのです。たとえば、ドローンで現場を測量し、いくら精度の高い設計データを作ることが可能になっても、数センチ単位で施工できる精度の高いハードがないと意味がありません。そうなると、個別の産業分野ではソフトだけを扱うプラットフォーマーよりも、ハードとソフトがつながった一体型のプラットフォーマーが力を持つような時代に変わってくるでしょう。

中原:一体型のプラットフォーマーというキーワードに、日本の産業がどうすれば生き残っていけるのか、その答えがあるような気がいたしました。

ところで、現場を知っている人から見ると、まさに「アメリカのテスラの工場は大丈夫か」と思うところが多いという話をよく聞きます。そうであれば電気自動車の分野でも、日本の自動車メーカーと、テスラのような企業の差は、意外に大きいと見てよろしいのでしょうか。

坂根:自動車の場合、比較的きれいな路面を走るので、ハードに要求される過酷さは建設機械ほどではありません。他方、安全面や快適性の要求は極めて厳しくなり、少なくとも私はモノづくりの面で信頼できないメーカーのものに乗る気にはなれません(笑)。いくら電気自動車で構造は簡単だからといって、まだ相当に複雑な機械商品なのですから。

自動運転の技術が進んでいくと、自動車に求められる新たな機能・サービスが出てくるようになります。それに対応できるか否かで、自動車メーカーの差がつくことになるでしょう。

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