日本が少子化でも「ダントツ」で豊かになる道

コマツ・坂根相談役インタビュー<後編>

「少子化を逆手にとって強くなれ」――。コマツを世界有数のグローバル企業にした坂根正弘相談役は「日本が再び世界の最先端を行くことは十分に可能」と言い切る。では何をより強くして、何を変えるべきか(撮影:梅谷秀司)
グローバル企業として厳しい国際競争に勝ち残ってきた建設機械最大手のコマツ。同社の坂根正弘相談役へのインタビュー前編では、日本の最大の懸案事項である少子化問題へのアプローチ方法と、産業界を変えるための大学改革などについて聞いた。後編では「日本の産業界が抱える問題」と「日本の強みを活かしたうえでの国際競争に勝つための方策」を中心に聞く。

前編:少子化を止める「優先順位の高い改革」とは?

日本の雇用慣行は「諸刃の剣」

中原:まずは日本の産業界が抱える問題からご指摘していただきたいと思います。

この連載の記事はこちら

坂根:日本ほどひとつの産業に多くの人々がかかわっている国はありません。たとえば、私たちコマツのかかわっている建設業界でいえば、建設投資額を100としたときに、日本の建設業の総売り上げは300にもなります。100の投資に対して、ゼネコンあり、サブコンあり、一次下請け、二次下請け、三次下請けありと、多くの企業がかかわっていて売り上げが積み上がっているのです。これに対してアメリカの場合はどうかというと、100の投資に対して120の売り上げしかありません。ということは、いかに日本の産業が多重構造になっているかということです。

では、なぜ日本がそうなったかというと、日本の雇用慣行に本質的原因があります。私が社長になった2001年に自分たちの作っている建設機械のコストの国際比較を行ったところ、変動費だけであれば、1ドル=80円でもアメリカに負けていないことがわかりました。

結局のところ、固定費の部分で負けてしまっていたわけです。そこで1回限りの大手術で健康体に戻る決心をし、世界で1位か2位にすでになっているか、今後なれる可能性のある事業と商品に集中することにしました。300社あった子会社を190社に統廃合するため、国内2万人の社員に希望退職を募ったり、間接業務のITの仕組みをできるかぎり既製服に合わせるなど、ありとあらゆる合理化を断行しました。

次ページ日本の大半の大企業は何を間違ったのか?
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 地方創生のリアル
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
正規と非正規「格差訴訟」<br>判断が分かれた最高裁判決

非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

東洋経済education×ICT