少子化を止める「優先順位の高い改革」とは? コマツ・坂根相談役インタビュー<前編>

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日本が少子高齢化を食い止めるにはどうすればいいのか。建機最大手・コマツの坂根正弘相談役は成果を上げるためにも「優先度の高い改革に本気で取り組め」と言う(撮影:梅谷秀司)
少子高齢化は日本が抱える最大の課題だ。建機の最大手・コマツの坂根正弘相談役は会長時代に本社機能の一部を石川県・小松市に移転。少子化対策にも熱心に取り組む、日本を代表する経営者だ。その坂根氏に「なかなか変わらない日本の大企業の問題点と少子高齢化打開への道筋」を聞く。

コマツが実証した少子化の原因と対策

中原:約1年前のインタビュー(「日本が少子化を止める唯一の方法とは?」「田植えはこれから不要になるかもしれない」)では、コマツの少子化対策や地方創生への取り組みをお伺いしました。その時にいちばん記憶に残っているのは、「コマツが本社機能の一部を小松市に移転する方針を決めた要因が少子化対応でもある」ということを実証的に示すデータを持っていたことです。

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「コマツの30歳以上の女性社員のデータでは、東京本社の結婚率が50%なのに対して石川が80%、結婚した女性社員の子どもの数が東京は0.9人なのに対して石川は1.9人と、掛け合わせると子どもの数に3.4倍もの開きが出ている」

私はもともと大企業の本社機能の移転が少子化対策になることは直感的にわかっていましたが、それを具体的に数字で理解できたというのは、非常に意義があることだと考えています。その後、これらの数字に何か変化はありましたか。

坂根:数字的な変化は、もともとの数値が大きいので、変化を与えるほどではありませんが、石川でコマツが中心になって、工場の改革や農林業の支援などを行い、その輪が広がってきました。一方で、能登半島のような地域では一段と過疎化が進んでいます。北陸新幹線ができて交通の便がよくなったこともあり、若者はいっそう東京志向になっています。

ですから、「石川の人口流出が止まったか?」というとそんなことはなくて、東京への一極集中と少子化は、何もしなければどんどん進んでいくでしょう。それを少しでもブレーキをかけるために、私たちが努力しなければならない状況に変わりはありません。一方で東京は国際都市として発展していくべきです。

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