少子化を止める「優先順位の高い改革」とは? コマツ・坂根相談役インタビュー<前編>

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「本社を都心から郊外に移転すれば、経営コストは圧倒的に安くなるし、 従業員の仕事や生活における満足度も格段に上がる」(撮影:梅谷秀司)

中原:私は大企業の経営者に魅力的な誘致案を提案できれば、地方は意外に多くの大企業を招き入れることができるのではないかと考えています。大志を持った大手IT企業の経営者を中心に、東京から地方へ本社機能を移したいと思っている人は着実に増えてきているからです。

たとえば、先日、ヤフー会長の宮坂学さんとお話する機会がありましたが、宮坂さんが「僕は利益を増やすだけでなく、社員が幸せになる会社をつくりたい」と目標をおっしゃったのに対して、私は「本社を都心から郊外へ移転すれば、経営コストは圧倒的に安くなるし、従業員の仕事や生活における満足度も格段に上がると思う」と申し上げました。

すると宮坂さんは「おっしゃるとおりだ。紀尾井町に6000人の従業員を抱えるのは、ものすごいコストがかかる。全部を郊外へ持っていくのは無理だとしても、郊外への分散はしていきたいと思っている」と答えてくれたのです。本社機能の移転需要は、確実に存在するわけです。

国を変えるには、大学改革が先

坂根:そうであれば政府は、そういった地方に移転したいと思っている企業の情報をいち早くキャッチして地方に伝えてあげればよいでしょう。「うちに来てほしい」と手を挙げる自治体はたくさんあるはずです。特にIT関連の企業は非上場から上場するまでは東京にいたいでしょうが、上場してしまえば東京にこだわる必要はないからです。

私は昨年1年間を通して、「地方大学の新興および若者雇用等に関する有識者会議」の座長をやってきましたが、結局のところ、この国を変えるには大学改革から入ったほうが早いと思うようになりました。企業側の意識を変えるのも大事ですが、それよりも大学改革のほうが優先順位は高いのです。

地方の私立大学は定員割れしているところが4割もあって、その一方で2040年までに18歳人口が3割近く減少することがほぼ確実です。「東京23区の大学の定員を据え置く」と言った途端に小池百合子知事にかみつかれましたけれども、東京23区の定員を据え置いても東京の比率はどんどん高まっていきます。地方大学の改革は待ったなしなのです。

ただ、地方大学にも問題があって、どこの大学も間接業務は同じような仕事をやっています。たとえば、バックオフィス的な仕事はいくつかの大学が共同で行うとか、あるいは自治体と一緒に行うとか、もっと効率化ができるはずです。

学問の面でもあまり特色がなく、東京の大学と同じような学部をそろえていますが、たとえば、地元の産業と連携して特色ある学部や学科を作ることはできるはずです。あとで企業の問題点を指摘するときにも述べますが、「総花主義・平均点主義、自前主義」というのは大学でもまったく同じで、特に地方の国立大学は総花主義で特色が見えませんね。

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