日本が少子化でも「ダントツ」で豊かになる道 コマツ・坂根相談役インタビュー<後編>

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中原:とりわけ高齢者の雇用では、日本型の雇用慣行に見直しの機運が高まってきているようです。65歳までの定年後の再雇用制度は定着しつつあるものの、再雇用後の給料は一般的には定年前の7割以下に引き下げられてしまいます。知識やスキルを持っている者にとっては、モチベーションの低下が問題になっているケースも珍しくはないのです。

そのため企業のなかにも、再雇用後も職務内容と職務責任に応じて評価や給与を決めるところが出てきています。まだ多少の時間はかかるかもしれませんが、優秀な人材の流出を防ぐためにも、再雇用後の待遇を合理的に決める海外型の雇用慣行が浸透していくことになるでしょう。このような潮流が若い人々や女性の採用にまで広がっていけば、坂根さんのおっしゃるとおり、日本の雇用慣行は変われるかもしれませんね。

坂根:これまでの日本は大企業中心主義であり、平均して成績のよい人間が大企業に入って、与えられた仕事をそれなりにこなし、堅実な人生を送るというのが幸福のモデルとされてきました。最近になってようやく、ベンチャーを立ち上げて新しいビジネスを育てようという若者たちが増え始めてきています。こういった部分を手掛かりにして、政府や国会で議論を始めていければよいと思っています。(前編でも触れましたが)、たまたま私は昨年「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の座長を務め、この国の活性化は「急がば回れ」で、大学改革とベンチャー支援から行ったほうが早道と思うようになりました。

IoTやAIは日本の雇用を動かすチャンスになる

中原:日本の産業力を高めていくためには、コマツのビジネスモデルはよい手本になっているように感じています。

坂根:日本の産業が海外に負けない競争力を保つためには、IoTの技術やAIの技術を使うことが不可欠です。しかし、大事なことは、この国の人は技術志向に走りがちなので、技術は外国から借りてでもビジネスモデルで先を走ることです。たとえば、コマツが実践しているように、建設業のIoT化というのがいちばんいい例だと思います。これまでの建設現場では、測量士が10~20メートル間隔で測量し作業用の図面を作っていたのですが、現在はアメリカや中国の技術を活用し、ドローンを飛ばしてごく短時間で2~3センチの精度の3次元のデータが得られるようになり、建設機械の自動運転が実現しました。

また、現場の土砂などを運ぶ際、ジャストインタイムでダンプトラックを手配することも難しく、これまでは大ざっぱな目安でダンプトラックに積んでいたものが、IoT化された現在では、極めて効率よく手配できたり、土をすくった瞬間に重量がわかるようになり、自動で積載量がわかるようになりました。これまでの建設現場はいろいろな仕事を多くの企業や人が分担していましたが、これからは一気通貫でないと仕事ができなくなります。

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