2017年12月26日のコラム「2018年、アメリカ株(原題は米国株)は大幅調整する可能性が高い」では、当時のアメリカ株が割高な水準であることを指摘し、2018年のアメリカ株は10~15%程度のレンジの範囲内で調整をするだろうと申し上げました。さらには、株価が調整後に戻したとしても、世界同時不況が予想される2019年~2020年に20%超の調整はあってしかるべきだ、とも付け加えました。
実際のところ、2018年の2月上旬のごく短い期間に、NYダウ平均は12%超の暴落をして、世界の株式市場が一時的とはいえパニックに陥りました。それでも私は、NYダウ平均が1月末の2万6600ドル台の高値から2月上旬の2万3300ドル台の安値まで暴落して以降、株価は半年くらいの期間をかけて2万5000ドル台までは戻し、逃げ遅れた投資家にも逃げ場はあるだろうと見ていました。
アメリカ株に2月暴落後のような戻りは期待できるか?
ところが現実には、トランプ政権の大型減税の効果もあって10月3日には瞬間的に2万6900ドル台まで上昇、史上最高値を付けてきました。投資家にとっては逃げ場というよりも、最近までは十分すぎる利益確定の場を与えてくれていたのです。投資家目線でいえば、「ここで売らなくて、いつ売るのですか」という状況にあったというわけです。
ですから私は、NYダウ平均が10月4日からわずか6営業日で瞬間的に2万5000ドルを割り込んだ状況を見ていても、まったく驚きはなく冷静に見ていることができました。その結果として、アメリカ株のPER(株価収益率)は15倍台後半と2016年2月以来の水準に下落していますが、2月の暴落後のような戻り相場が期待できるのかというと、私はその確率は50%以下になるのではないかとはじいています。というのも、アメリカ株の割高感が薄れてきたとはいっても、それが景気後退を意識しているものであれば話は変わってくるからです。
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