世界の株式市場では「大いなる安定(グレート・モデレーション)」というキーワードのもと、依然として株価の上昇基調が続いています。米国やドイツのような経済指標が堅調な国はもちろんのこと、ブラジルのような、いまだに景気が厳しい国でも株価が最高値を更新しています。
2018年も歴史的な低金利が続く可能性が高まっている
これまでは金融緩和によって膨らんだマネーが歴史的な低金利の環境下で行き場を失い、世界の株式市場にマネーが向かわざるをえなかったという面が強かったのですが、2017年の夏以降は米国の経済指標が市場予想を上回る改善傾向を見せ始めました。その結果「大いなる安定」という楽観論が台頭、世界の株価をさらに押し上げるという構図になっているのです。市場関係者の多くが、「歴史的な低金利はあと1年~2年は続くだろう」と見ています。FRB(米連邦準備制度理事会)は2018年以降、利上げのペースを2017年よりも緩やかにせざるをえないと読んでいるのです。
というのも、米国の経済指標が2017年夏以降に堅調さを示している一方で、物価はFRBや市場の予想していたとおりには上昇していないからです。2018年2月に勇退するジャネット・イエレン議長は「雇用指標が改善すれば、物価は上がる」という見解を示し続けてきましたが、ここのところ、その見解に疑義を呈するような発言をしています。おまけに、新しいFRB議長に就任予定のジェローム・パウエル理事は、「物価が想定よりも停滞すれば、引き締め政策は緩やかになるだろう」と述べ、利上げのペースを落とす可能性について示唆しているのです。
ECB(欧州中央銀行)の量的緩和政策の縮小が市場の予想どおりになったことも、歴史的な低金利がまだ続くという見通しを補強しているようです。ECBは2017年10月の理事会で、月々の資産購入額を2018年1月から半減することを決定しましたが、購入期限を2017年12月から2018年9月まで延長することでバランスを取ったのです。マリオ・ドラギ総裁は「物価上昇圧力はいまだに弱い」と発言し、これまでの政策と基本的に変化はないことを強調しています。資産の購入期限を延長したため、利上げの時期はさらにその後にずれ込むのが確実となり、市場ではECBの利上げは2019年以降になるだろうと読んでいます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら