株価が下落する「危険なサイン」が出てきた これから日本株を買っても儲かるのか?
「米国発の市場波乱シナリオ」はどこが間違っていたのか
当コラムでは、8月半ばから、日本国内の株価は短期的なリバウンドはありうるが、流れとしては年末にかけて下落すると予想し、株価下落が懸念されると述べ続けてきた。これは、当初9月以降と見込んでいた、米国での経済政策に対する失望(あるいは、その根本要因である、トランプ政権に対する失望)が、想定よりも早く表れたと考えたためだ。
しかし実際の日経平均株価は、足元も含め大きく上昇し、2万1000円の大台を強く上抜けている。見通しを誤り、読者の方にはご迷惑をおかけしているが、当初のシナリオとどこが間違ったのかを、点検してみたい。
当初シナリオでも、現在でも、特に日本国内に、株価が大きく下落する要因は見出しにくい。企業業績は回復基調をたどっているし、収益レベルと比べた株価水準(予想PER=株価収益率)は、先週末においても、安倍政権発足後のレンジの中央辺りに位置し、とりわけ割安ではないが、割高でも全くない。
特にこれまでは、企業収益の上方修正は、輸出企業がリードする形だった。それは、円相場の動向によるものではなく、世界経済が回復し、海外における日本製品に対する需要が増加することで、輸出数量が伸びることによるものであった。ただし、そうした、輸出企業の収益の好調さは、いったん株式市場で織り込まれた感もあった。ところが、これまで今一つ力強さを欠いていた、内需について、足元の6~8月の決算発表をみると、小売や外食などの内需関連企業で、収益が改善しているものが目立ち始めている。
以上のように、日本国内の情勢については、見込み違いをさほど感じない。だが、大きく誤ったのは、米国の財政政策の動向であった。減税案についてはかなり難航し、大幅な減税を盛り込むことは難しいと予想していたが、9月27日(水)に公表された、大統領と議会共和党指導部による税制改革案には、20%への連邦法人税率引き下げ(現行は35%)をはじめとして、個人所得減税、いわゆるリパトリ減税などが揃い踏みで、筆者の予想を上回る「大盤振る舞い」だった。また予算の大枠を定める予算決議については、10月5日(木)に、下院で可決された。
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