アメリカ株は2019年に本格的な調整に入る

2020年には景気後退も現実味を帯びてくる

アメリカの長期金利が9月下旬からの上昇によって、これまで壁としてはね返されてきた3%のラインを突破してきました。その後は3%の壁を明確に突き抜けて3.2%台まで上昇し、FRB(米連邦準備制度理事会)がQE3(量的金融緩和第3弾)に乗り出す前の水準(2011年5月以来の水準)となっています。

長期金利が3%を突破する原動力となったのは、FRBが今年3回目の利上げをしたのに続いて、直近の失業率が3.7%と半世紀ぶりの低さとなったり、ISM(アメリカのサプライマネジメント協会)の非製造業景況感指数が過去最高を更新したりするなど、アメリカの景気の力強さを示す指標が相次いでいるからです。

そのうえ、イランの供給減に起因する原油高も長期金利を押し上げる要因となっています。原油価格の指標であるWTI原油先物の価格は一時1バレル=77ドル台に迫り約4年ぶりの高値を付けていたのです。現時点は68ドル台まで下落したものの、1年前より4割も高く、インフレが進むのではないかと懸念されています。

低金利頼りだった米経済に変調をもたらす長期金利上昇

長期金利が3%を明確に超えてくるようになると、低金利に頼ってきたアメリカの旺盛な個人消費に陰りが見え始めるようになるばかりか、自動車ローンやクレジットカードローンの延滞率が上昇するという悪影響が想定されます。

実際に、アメリカの住宅市場が天井を打ったという感触があるなかで、2018年中には個人消費に悪影響が出始めて、2019年の前半にはその悪影響が如実になっていくことが予想されます。すなわち、これから1年程度でアメリカの成長率が急減速する見通しが立てられるというわけです。

それに追い打ちをかけるように、2019年後半に大型減税の効果が薄れてくることを考えると、今後の長期金利の平均した水準が3.2%前後で推移し続けたとすれば、アメリカは2019年中に減速傾向が鮮明になっていき、1~2%台の成長率に落ちていくでしょう。

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