買ったらヤバイ!新たなダメ投信の見抜き方 「資産寿命」と「取り崩し」で不安を煽る新商法

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その理由は、この減少の大半が毎月分配型投信の減少によるものだからだ。毎月分配型投信の残高は2015年5月に約43兆円あったが、2018年6月末には約26兆円まで減少している。

毎月分配型をはじめとする多分配型(年金が偶数月に入るので奇数月に分配する、高齢者を狙った「あざとい!」隔月分配型もある)の投資信託は、以下の2つのことが言えそうだ。

(1) 収益から分配するなら税金を早く払う分、年1回分配よりも損だ(収益がマイナスならもっと悲惨だ!)

(2)複利の効果が働きにくいし、こうした商品の仕組み上の問題に加えて、現実の商品は手数料が高すぎてばかばかしい。

つまり、金融論的には、毎月分配型投信は「価格に関係なく即刻解約!」することが正解だ。

投信保有残高減少は、不幸な投資家が減ったことを示唆

ここで、「円安になると、儲かるのではないか?」と考えて立ち止まる人は、投資に向いていない。なぜなら、同じように「円安になる」場合、ほかの運用商品を持っているほうがずっと儲かるからだ。「つねにダメな商品なので、一刻も早く解約するほうがいい」という結論になる。

今回統計の修正によって明らかになった個人の投資信託保有残高の10兆円を超える大幅減少は、投資信託業界がなにがしか浄化された結果であり、不幸な投資家が減ったことを示唆する数字なのだと筆者は考える。

もっとも、それは、過去に「あまりにひどかった状態」が、「少々マシな状態」になったということにすぎないということでもある。金融業界はひどい商品を顧客に売りつけていた。

以上のような状況なのだが、筆者は、この間の投資信託をめぐる金融行政について、「よくやってきた」と評価している。毎月分配型投信の大幅減少は「森信親長官時代」の「成果」の1つだ。

次ページ森前長官時代は「かたよった投信行政」だったのか?
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