それでは、「厳しく受け止める」金融庁幹部(いったい誰だ?)や、『週刊金融財政事情』誌は、何を考えているのだろうか?
端的に言う。金融業界およびその関係者(業界寄りの官僚や業者を含む)の腹黒い連中が、毎月分配型を含む多分配型の投資信託販売を「復権」させようと画策しているのだろう。
多分配型の投信は、分配金の大きさと安定性を強調して売ると、お金を持ったボリュームゾーン顧客層である高齢者に売りやすい。このビジネスを、「もう一度大っぴらにやりたい」というのが彼らの意図だ。
そして、「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」を合い言葉に多分配型投信に対して厳しかった森前金融庁長官の退任をきっかけに、巻き返しを画策しているように思われる。
「腹黒い人たち」の本音が見える
『週刊金融財政事情』の先の記事の後半には、「金融庁のかたよった投信行政にも問題あり?」との小見出しの下に、「毎月分配型投信販売の事実上の制限、積立投信やインデックス型投信の推奨など、金融庁のかたよった投信行政によって販売側を萎縮させていたことも投信市場縮小の一因だったのではないか」、「金融庁の最近の行政方針を見てみると、高齢者の資産形成に配慮を見せるなど、これまでのスタンスからの修正を図っているように見える」との記述がある。
森長官時代の投信行政を「かたよった投信行政」だったのだとして、高齢者向けに売る多分配型ファンドの商売に「配慮」するように修正して欲しい、と言っているように読める。この辺りが、腹黒い人達の本音だろう。
「そちらは、懲りないワルじゃのう!」
投信とは別件の問題なのだが、森前長官が在任中に経営を褒めていたスルガ銀行で不正融資問題が火を噴いている。腹黒い人々は、ミソもクソも一緒に「森路線」を否定するムードをつくろうとするだろうから要注意だ。
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