彼らが売ろうとしている、「典型的なダメ投信」の商品と売り方の特徴は以下のようなものだ。
② 次に、「上記のケースで、資産が3%の利回りで運用できると、110歳くらいまで『資産寿命』を延ばすことができます」と誘う。
③ 商品は、「3%程度の利回りを目指す」などと、いかにもこれが良い資産寿命延命策であるかのように装う。
④ 年金が入る偶数月ではなく奇数月に分配する商品が多い。高齢者に「安定的な現金収入のある生活」をイメージさせる。
⑤ 商品は、販売手数料2%程度、運用管理費用年間1%程度のものが多い。
⑥ 商品によっては、年間に運用資産額の「4%」「7%」「15%」などと、「資産の取り崩しニーズ」への対応を標榜するものもある。
たとえば、上記の②〜⑤を満たす商品に3000万円投資するとしよう(本当はこんな話を簡単に信じてはいけないのだが)。
「リスク資産」の期待リターンが5%だとすると、「3%」を手取りで目指すためには、約3.75%のリターンが必要だ。しかも運用管理手数料1%分も追加で稼がなければならないから、必要リターンは4.75%となり、これを期待値で目指すなら運用内容は「リスク資産」95%(!)、投資家が払う手数料は販売手数料(2%)も払う初年には約90万円、2年目以降は残高が3000万円あるとして(多分、そこまでないと思うが……)、運用管理手数料は毎年約30万円だ。
これを、ノーロードで運用管理費用が年率0.2%(これ以下のものもある)内外のインデックスファンド(組み合わせは国内株40%、外国株60%を推す)を「リスク資産」とすると、やはり税引き前に3.75%のリターンが必要なので、リスク資産の比率は75%、金額で2250万円となる(残りは当面普通預金でもいい)。年間の支払手数料は約4万5000円で済む。
リスクはより小さいし(リスク資産が95%対75%)、毎年の手数料が25万5000円も安く、最初に金融機関に60万円も販売手数料を払う必要もない。優劣は明らかだろう。ポイントの1つとして、運用しようとする全額を、1つの商品に投入するのではない選択肢があることを知っておいてほしい。
資産は計画的に取り崩すといいし、当面普通預金が潤沢にあるから、無駄遣いにさえ注意していればいい。金融界は、底の割れたボッタクリ商品を「資産取り崩しのニーズがある」などという苦しい言い訳で売りつけようとせずに、顧客には「正しい方法」を「親切に」教えるべきだろう。金融マンも人間としてそのほうが気持ちよくないか。
「お年寄りには、親切にしましょう!」
一方、お年寄りの側では、一見親切に行われるボッタクリ投信のセールスに気をつけてほしい。腹黒いセールスのキーワードは「資産寿命」と「取り崩し」だ。「(年金が支払われない)奇数月の分配」といった属性も大いに怪しい。簡単にわかる別法として、運用しようとする残高に対して0.5%以上(100万円の運用に対して5000円以上)の手数料を支払うものは、運用方法としてすべてつたないと考えておくことをお勧めする。もちろん、保険(外貨建てが多い)のように、実質的な手数料の明細がわからないものは、運用商品としてすべて不適切だ。
(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら