関東進出!食べ放題焼肉「ワンカルビ」の正体 関西・九州の名物チェーン、強さの秘密とは?

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九州に5年前に出店して、これまで12店舗になりました。これは九州全域で果たしていることではなく福岡周辺に限ってのことです。これによって知名度も高まり、「ワンカルビ」と言えば福岡のほとんどの人が分かる状態になっています。

現在、福岡エリアには社員が60人ほどおりますが、その8割は九州出身者となっています。

「やらないこと」を決めたブレない経営

――加盟店になりたいという声もたくさんあるのではないでしょうか。

当社は直営のみで、われわれの意思を持って出店していきます。ですから年間数十店舗という出店は絶対にできませんし、一店一店をつくっていくことをポリシーとしています。

この結果、2006年に食べ放題を始めて去年までの12年間で1店舗当たりの売上げが1.6倍になりました。この間、客単価はほとんど変わっていませんので客数が1.6倍になったということです。クオリティを上げるためにグランドメニューの変更は年に2回行っています。そのたびに接客のブラッシュアップも行っています。このように少しずつの成長がこのような客数の伸びに現れていると思います。

この12年間で、既存店が前年比を割ったのは2009年に99.9%ということがあり、この1回だけです。他の年は全て100%をクリアしております。そして12年間、退店が1つもありません。

「新店の役割はとても重要」と語る高橋淳社長(写真:商業界ONLINE)

会社分割をした2008年以来10年間がたちますが、年商は90億円から270億円へと3倍になりました。これは既存店の一店一店を磨き上げて行くことで、新規出店が売上げの純増となったからです。

新店の役割はとても重要です。一般的な考え方では、新店はソフトオープンして、だんだんと店の体制を整えていくというものでしょう。しかしながら、私は「オープンしたその日から『ワンカルビ』であれ」と訴えています。初日に来たお客さま、1カ月後に来たお客さま、半年後に来たお客さま、いずれのお客さまにとって店の状態については関係のないことであって、「ワンカルビとはこういう店である」ということをきちんと認識してもらうことが必要なのです。

――お話を伺っていて、「ブレ」がないことを感じます。

われわれは「人生における2時間の幸せを」という店舗テーマを守るために「やらない」ことをきちんと決めています。ランチ営業をしない。セントラルキッチンを持たない。FCをやらない。このようにやらないことを決めることでブレないようにしています。

そのために毎年1時間のドキュメンタリー映画を作っています。150時間ほどを収録して1本に編集しているものです。これを経営方針会や各店舗、あるいは会社説明会で、共栄会という取引先さまとの会合でも見るようにしています。こうしてわれわれが何を目指しているかをきちんと理解していただきます。これがないと本来のWIN-WINの関係にはならないと考えているのです。

われわれは店舗数が増えることでよいノウハウは増えていくという発想をしていて、そこから仕組みをつくっていこうと考えています。それによって「幸せな団らんを、社会に。」というミッションを実現していくのです。

千葉 哲幸 フードフォーラム代表
ちば てつゆき / Tetsuyuki Chiba

フードサービス・ジャーナリスト。柴田書店『月刊食堂』、商業界『飲食店経営』の編集長を務めるなど、フードサービス業界記者歴35年。フードサービス業界の歴史をはじめ最新の動向に精通する。2014年7月に独立。「フードサービスの志をつなぐ」をミッションとして、取材・執筆、書籍プロデュース、セミナー活動を展開。また、フードサービス業界に関わる人々の交流を深める活動を推進している。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年発行)

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