くら寿司が創業41年で「シャリ」を変えた理由 完成まで約10年、7月末から「健康黒酢」を使用
「前に来たときと、シャリが変わったよね。味もしっかりして、ネタとの相性もいい感じがする」――。7月最後の週末、多くの客でにぎわう東京都内の「無添くら寿司」の店舗に足を運ぶと、ある家族客がそんな話で盛り上がっていた。
回転ずしチェーン大手のくら寿司は、7月27日から黒酢をすし酢に使用した新しいシャリを全国の店舗で導入した。「健康黒酢のシャリ」と銘打った新たなシャリには、長期熟成・発酵させた黒酢をすし酢として使用。黒酢には米酢よりもアミノ酸が多く含まれており、健康維持・美容に役立つといわれる。今回は3種類の黒酢を使用し、風味やコクを加えた。くら寿司がシャリの味を変えるのは1977年の創業以来初めてのことだ。
世界中の酢を試してたどり着く
「世界中のさまざまな酢を試してきたが、最高のすし酢がようやく完成した」。7月下旬に行われた商品発表会で、くら寿司を運営するくらコーポレーションの久宗裕行・常務取締役は高らかに宣言した。
くら寿司といえば、ここ数年はサイドメニューが話題に上ることがもっぱらだ。酢飯とカレーを組み合わせた「すしやのシャリカレー」や、必須アミノ酸などが入った体に優しい「シャリコーラ」など、”回転ずしチェーンらしからぬ”商品を次々と世に出してきた。今年3月には初の洋食メニューとして、「カルボナーラ スパらッティ」といった商品も投入した。
こうした取り組みで、くら寿司全体の売り上げに占めるサイドメニューの割合は現在30%程度となり、7年前から5ポイントほど上昇している。そんなサイドメニューに力を入れてきたくら寿司が、「“すしの命”ともいえるシャリ」(久宗常務)をなぜこのタイミングで変更したのか。
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