くら寿司が創業41年で「シャリ」を変えた理由 完成まで約10年、7月末から「健康黒酢」を使用

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新たに投入した「キヌアサラダ手巻き えび」。会社によると、女性客を中心に好評だという(記者撮影)

ただ、黒酢は安価なものではない。会社側は詳細な数字を明らかにしていないが、「今回の黒酢への変更でコストアップになることは間違いない。もちろん無計算でやっているわけではなく、しっかり売り上げを取っていくことで利益を確保する」と久宗常務は話す。

今回のシャリ変更に合わせて、栄養価が高い「スーパーフード」を使用した商品を投入した。穀物のキヌアを使用した「キヌアサラダ手巻き えび」や「キヌアブロッコリーサラダチキン」(いずれも税抜き100円)などをラインナップに加えた。健康を意識した商品を拡充することで、売り上げや利益の確保につなげる構えだ。

家族客の奪い合いが過熱

目下、くら寿司の業績は堅調だ。くらコーポレーションの2018年10月期の第2四半期累計(2017年11月~2018年4月)の売上高は652億円(前年同期比8.5%増)、営業利益は37億円(同21.7%増)といずれも過去最高を記録。国内の既存店売り上げが前期並みを保つほか、海外店舗も好調を持続している。

ただ、国内の既存店について子細に見ると、注文皿数の増加で客単価の前年超えが続く一方、客数に限ると微減傾向が続いている。競合の「あきんどスシロー」や「はま寿司」が出店攻勢をかけるほか、業界の垣根を超えた家族客の奪い合いが過熱している。

久宗常務は「今までのくら寿司のファンの方々に、しっかりと受け入れてもらえる自信があるからこそ、シャリの変更を決断した」と強調する。創業41年目での大きな決断に、消費者はどういう評価を下すのだろうか。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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