くら寿司が創業41年で「シャリ」を変えた理由 完成まで約10年、7月末から「健康黒酢」を使用

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昨年、くら寿司が投入した「シャリ野菜」。シャリが酢飯ではなく、大根の酢漬けになっている(写真:くらコーポレーション)

きっかけの1つが昨年投入した糖質オフシリーズのヒットだ。シャリの代わりに酢漬けの大根を使用するという斬新な商品などが人気を博し、シリーズ累計で800万食を超える販売数を記録した。

「われわれの商品には創業時から四大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)を使用していない。こうした取り組みは20年前だと、まったく評価されず苦渋を味わった時期もあった。ただ、昨年の糖質オフシリーズに対するお客様の反応を見て、体によい黒酢のシャリがいけるかもしれないと感じた」(久宗常務)。

2人しか知らない門外不出のレシピ

さらに、シャリ変更に拍車をかけたのが創業者の思いだ。これまで、くら寿司のシャリに使われるすし酢は門外不出とされてきた。そのレシピを知るのは、創業者である田中邦彦社長と、もう1人の創業者で商品開発の責任者を務めた時本新一相談役の2人のみ。「現在、製造本部長を務める私でさえ、すし酢のレシピを知らない」(久宗常務)。

7月下旬に開かれたくら寿司の商品発表会。中央がくらコーポレーションの久宗裕行常務取締役。発表会にはタレントの稲村亜美さん(右)と、「第15回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリに輝いた井本彩花さん(左)も駆けつけた(記者撮影)

くら寿司の商品開発に現在も深くかかわる時本相談役が「味のニーズはつねに変わる。今のもので満足していては、何も変えることができなくなる」と号令をかけ、10年前から新たなすし酢の開発に着手してきたという。

この間、各地の米酢や穀物酢、果実の酢に至るまで、ありとあらゆる酢を試してきた。江戸前ずしに使用される赤酢にもトライしたが、最終的に納得した味を出せたのが黒酢だった。田中社長も新しいすし酢のシャリを食べた瞬間、「これでいこうや!」と即決し、創業後初めてシャリを変えることになった。

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