虫歯の人が妄信してしまう危険な歯科医5例 インプラントが「骨を突き抜ける」ケースも

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あまり知られていないが、「抜歯に明確な基準はない」。歯を抜くか、残せるか、担当する歯医者によって変わってしまうのが現実だ。

現在では、治療の選択肢をすべて説明するのは、医療側の責任であり、どれを選ぶか、決定権は患者にある。しかし、なぜか歯医者だけは、自分の診断が唯一の正解だとして、押し付ける傾向が強い。

仮に「抜歯しかない」と言われても鵜呑みにせず、まずセカンドオピニオンを受けたほうがいいだろう。

case.3 「手術は無事に成功しました」の嘘

レントゲン写真の丸で囲んでいるのは、上顎の骨を突き抜けてしまったインプラント。

インプラントが痺れや疼痛などの後遺症につながるケースも(『やってはいけない歯科治療』より転載)

こんな状態になっていることを、患者の女性は知らなかった。歯医者に、「手術は無事に成功しました」と聞かされていたからである。

重大なミスをしておきながら、患者には何も伝えず、隠し通す気だったらしい。しかし、手術から18年後、女性患者がたまたま別の歯科医院を受診して、ミスが発見されたという。

東京医科歯科大学・インプラント科の初診患者のうち、5人に1人は他院でのインプラント手術・トラブルだと春日井昇平教授は話す。

東京医科歯科大学の春日井教授(筆者撮影)

「インプラントが折れた、抜け落ちた。痛くて噛めない。そういうトラブルを患者が主治医に伝えても、対応してもらえないので、ウチに来るのです。一番悲惨なケースは“神経損傷”。完全に神経が切れてしまったら、今の技術で繋ぐのは難しい。痺れや疼痛などの後遺症が生涯続きます」

大学病院などを対象に実施した調査(日本顎顔面インプラント学会)では、インプラント手術の重篤なトラブルが、3年間で421件あった。

「人間が行う手術だから、間違いは起きます。しかし、手術をした歯医者が、何もフォローせず、うやむやにしたり、ごまかしている。これは許されない行為だと思う」(春日井教授)

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