虫歯の人が妄信してしまう危険な歯科医5例

インプラントが「骨を突き抜ける」ケースも

抜歯原因の1位である歯周病でも、科学的な根拠のない独自の治療法を打ち出す歯医者がいる。たとえば、これもその一つ。

「歯茎マッサージで、歯周病菌を取り除ける」

歯茎(歯肉)をマッサージして血行を良くすると、免疫力も高まり、歯周病が治るという理屈らしい。こんなに簡単なら、なぜ広まらないのか?

歯周病治療の第一人者・弘岡秀明氏(スウェーデン・デンタルセンター院長)は、次のように解説する。

「マッサージされた歯肉は、一見すると引き締まって見えるので、健康になったと“錯覚”するのです。歯周病は感染症ですから、原因となっているバイオフィルム(細菌のかたまり)などの除去が必要です。歯肉マッサージで歯周病が治るということは、あり得ません」

歯医者が、独自の「◯◯式治療法」をアピールする理由。それは、奇をてらった主張でなければ、社会に注目されないからだ。一般的な常識とは違う治療法を考え出し、マスコミに売り込んで話題を作り、クリニックの集患(患者数を増やすこと)に利用する。

くれぐれも気をつけてほしいのは、非科学的な治療法を信じて、正しい治療を受けずに虫歯や歯周病を進行させてしまうことだ。独自の治療法を勧められたら、歯科関連学会のホームページでガイドラインを確認してもらいたい。

case.2 「この歯は抜くしかない」を信じるな

50代の男性は、前歯に鈍い痛みが出たので、近所の歯科医院をネットで探した。大学病院の勤務経験がある歯医者は、最新のCT検査を行った後、男性の目を見据えて診断を告げた。

「あなたの症状は歯根破折と言って、歯の根にヒビが入っているのが原因です。これは抜歯するしかありません。抜いた後は、インプラントがいいでしょう。私は大学病院で経験を積んでいますので。費用は1本約45万円です」

身体の一部分を失う抜歯は、患者にとっては一大事。それなのに、歯医者は何のためらいもなく、歯を抜いてインプラントにすることを勧める。その姿勢に違和感を抱き、男性はセカンドオピニオンを受けることにした。

「軽度の歯根破折なので、接着という方法で治療できますよ。まだ、歯を抜かなくても大丈夫です」

なぜ歯医者によって診断がまったく違うのか。男性は納得できなかったが、セカンドオピニオンの歯医者に治療を依頼した。結局、抜歯することもなく、費用もインプラントより、格段に安く抑えることができたという。

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