プログラミングで鍛えられる「仕事力」の本質 問題を深く考察し解決へと導く思考が必要だ

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GUIとはグラフィックユーザーインターフェースの略で、小さなお子さんからお年寄りまで、誰でも簡単に視覚的に動かせる環境を意味する言葉です。このことから、技術を習得させるというよりは、どちらかというとこの段階では、プログラミングに慣れ親しんでもらい、将来、抵抗感を持たないようにすることが第一の目的なのではないでしょうか。

GUIタイプのプログラミング環境で有名なものには、Scratch(スクラッチ)という、マサチューセッツ工科大学内にある研究所のMITメディアラボが開発した子ども向けプログラミング学習用の開発環境があります。

プログラミングといっても、みなさんがイメージしているような、黒い画面に意味のわからないアルファベットをずらずら打ち込んでいくわけではなく、可愛らしいキャラクターが登場し、それをマウスでクリックしてキャラクターを動かしながらプログラミングを学んでいくというものですので、親子でテレビゲームでもやる感覚でお子さんと一緒になって楽しめるはずです。

これまで、不安や否定的な声ばかりが多いようにお伝えしてきましたが、「うちの子もプログラミング学ばせて、IT企業社長にしようかしら?」といったような、「プログラミングを覚える=IT社長として成功」といったステレオタイプ的なイメージを持たれる人も多いようです。

ただ、残念ながらプログラミングができるから高級取りになれるわけでも、IT長者になれるわけでもなく、将来安泰というわけでもないのが現実です。

プログラミングができて貧困に陥る人たち

こんな事例があります。国立大学を卒業後エンジニア一筋の山田さん(仮名・52歳・職業エンジニア)は、奥様と離婚し現在は無職。ワンルームマンションに引っ越し、食べていくのもやっとの生活を送っています。

息子さんの話によると最近は気持ちも沈んで弱気になっている様子。聞くところによると会社を退職し友人と一緒に起業したものの、営業をやってくれるはずだった友人がまったく動いてくれません。そうなると元来口下手で営業経験などない山田さんにはどうすることもできません。そうしたことから、喧嘩が増えていき、仕方なく会社をたたむ羽目になったのだそうです。

また、武田さん(仮名・50歳・独身)は、歩く百科事典というあだ名がつくほどの暗記力を持つプログラマー。しかし、ケアレスミスを連発したり、相手のために良かれと思ってやったことで相手を怒らせてしまったりなどの理由で、どこに行ってもクビになってしまいます。現在はプログラミングとはまったく関係のない近所のコンビニでバイトをしているそうです。

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