プログラミングで鍛えられる「仕事力」の本質 問題を深く考察し解決へと導く思考が必要だ

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プログラミング的思考の一般的な概念として、プロダクトが出来上がるまでの「コーディングのプロセス」のことだと思われがちですが、実はもっと奥深い意味があるのです。

コンピューティショナルシンキングという言葉を耳にしたことはあるでしょうか? 日本語に直訳すると「計算論的思考」という概念に相当します。コンピューターサイエンスを専攻されている学生さんなら一度は聞いたことがあるかもしれません。「問題点」を深く考察し、コンピューターがどうしたら動きやすくなるかを私たち人間が知恵を絞って考えるというような意味合いです。プログラミング的思考はこのコンピューティショナルシンキングとほぼイコールだと捉えてよいでしょう。

プログラミング的思考とは「問題解決能力」

結局のところ、いくらIT化が進み、いくら優れたコンピューターが登場しても、それは人間によってコンピューターが抱える問題点を適切に捉えたうえで、コンピューターが動きやすいように人間の知恵から創造されたモノにすぎないのです。従って、プログラミング的思考とは広義の意味では「問題解決能力」のことだと言ってもあながち間違いではないのです。

先にご紹介した山田さんと武田さんは、一見するとコミュニケーション能力に問題があるように捉えられがちですが、実はこの問題解決能力のほうに問題があったのではないかと推測しています。

プログラミング的思考が、「問題」を深く考察し「問題解決」へと導く思考であるなら、なにもエンジニア志望の方だけに必須の能力ではなく、長い人生において、どんな逆境にあっても知恵を振り絞って心豊かに生きるために、大人から子どもまで、世界中のあらゆるご職業の方に必要な能力だと言うことができるのではないでしょうか。

この先、お子さんがどんな逆境に置かれたとしてもそれを乗り越えられるような、高い問題解決能力を身に付けておくためには、その前提として常日頃鍛えておかなくてはならない力があります。その力とは、問題を解決へと導く突破口となるアイデアを生みだす発想力であり、生みだされたアイデアをカタチにする「創造力」にほかなりません。

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問題点を見つけたり、問題点がどこにあるのかを深く考えたりするだけでは、その問題が解決することはありません。また、その問題となる原因を見つけだしたら、次はそれをどうやって解決するかの「アイデア」が必要となります。いくら優れたアイデアが次々と湧いたとしても、それをカタチにできなければ問題は永遠に解決されることはないのです。実はプログラミング教育必修化における、真の目的がここにあり、このプロセスがまさにプログラミング的思考なのです。

広い視野で見てみると、プログラミング教育必修化は、お子さんのあらゆる可能性を引き伸ばしてくれるだけではなく、時としてお子さんを逆境から救う武器にもなりうるのです。また、教員や親御さんにとっても、ご自身の創造力を見つめ直すすばらしい機会になるはずです。

市村 よしなり ITコンサルタント

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いちむら よしなり / Yoshinari Ichimura

神戸市生まれ。幼いころからコンピュータープログラミングを始めるが、10歳のとき、父親の事業失敗により、突然の夜逃げを経験する。ライフラインも満足に整わない山奥で、自給自足のサバイバル生活を余儀なくされる一方で、かろうじて手元に残ったパソコンでゲームを自主制作。雑誌に投稿を重ね、賞金を稼ぐようになる。父の21社の会社経営と失敗から学び、小学生でビジネスを始める。その後、大手ソフトウェア会社に就職するが、23歳で法人設立。現在、株式会社コスモウェブ代表取締役、シンガポール法人CosmoWeb.pte.ltd CEO。

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