こうした夫婦のコミュニケーションの積み重ねによって、子育てや教育に関する共通の価値観が育まれている。そして、泰三さんの柔軟なワークスタイルは、親子の時間を最大限に確保することを可能にしている。泰三さんは毎日、峻平くんを学童保育に迎えに行った後、2人で一緒に耕平くんを保育園に迎えに行く。
主夫や育児に関する講演を依頼されることも多く、そんなときは息子たちを連れていく。教育や受験の情報ではなく、家族で過ごす時間の長さと質こそが、堀込さんにとって最高の子育て・教育資源となっている。それは、学童代わりに塾や習い事を活用せざるをえない、一般的な共働き家庭にとって非常に魅力的に映る。
子育てや教育でいちばん大事なことは何でしょうか。実苗さんに聞いてみた。
「子どもがハッピーかどうか。子どもが自分で選ぶ力を持って、自分が選んだものを肯定できるのが大切だと思います。自分の軸、やりたいことがしっかりあって、グローバルを考えるのはその次ではないでしょうか」
インタビューの途中、峻平くんが話しかけてきた。「あのね、しゅんぺいね、4万330円持っているから、南極に行くの」。弟の耕平くんも、まったく人見知りせず、初対面のおばさん(筆者)に「先生、見て」と言いながら機関車トーマスを走らせて見せてくれた。
そうするうちに、向こうから、本当の先生がやってきた。東大構内の保育園に通う子どもたちが、散歩に来たのである。堀込家の2人の兄弟は、弟の通う保育園の先生と友達の元に駆け寄っていった。その様子を見守っていたのは、赤門をくぐることより、門の中でいちばん楽しい場所を見つけることのほうを大切に思う両親だった。
(撮影:梅谷秀司)
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