本当にやりたいのか、「半年」待ってみる
「教育」については、泰三さんのほうが、ややラジカルと言えそうだ。当初、本連載のテーマを「グローバル教育」と伝えたところ、「教育というのは押し付けるようなニュアンスがあるのかなと抵抗感を覚えた」という。しかし「調べてみたら、教育には持っているものを引き出す、という意味もあることがわかって納得しました」。
そんな泰三さんは、たとえば、「知育玩具はいらない」と考えている。泰三さんの両親は身近にあるもので何かを作り出すのがとてもうまい。「おばあちゃんの編み物や折り紙、おじいちゃんが作った手裏剣で遊ぶほうがいいと思う」。
こうした夫婦の発言から、「子どもの自主性のみに任せ、親は何も働きかけない」かと思うと、そうでもない。泰三さん曰く「誘導しつつ待つ」こともあるからだ。
たとえば峻平くんはピアノを習っている。きっかけは保育園の友達が習っているのを見たことだ。「僕もやりたい」と言い出したとき、すぐには始めさせず「半年待って、それでもやりたいならやっていいよ」と伝えた。半年後、峻平くんの意思が変わらなかったため、始めたピアノは約1年経った今も続いている。
「子どもにこれを勧めたいな」と思ったとき、親の意向をそのまま押し付けることはせず、関心を持つよう方向づけをして、後は子どもに任せる。理想的なようで、これがなかなか難しいことは、子どもを持つ親なら皆知っている。
子育てや教育について、堀込さん夫妻に質問すると、夫婦それぞれから返ってくる答えが、ある時は一致し、また別な時は少し違う部分もありつつ、一定のストライクゾーンに収まっている。意見が分かれることはないのだろうか。
「分かれたら、話し合いますね」と泰三さん。小さな子どもがいる家庭では、共働きであれ、片働きであれ、子どものことで手いっぱいになり、夫婦でゆっくり話す時間を持てないことも少なくない。どうしたらいいのだろう。
秘密は泰三さんの両親にあった。近くに住んでいて、よく夕食を一緒に食べている。子どもたちをお風呂に入れてくれることもあり、その間に夫婦でゆっくり話ができるという。この春までは、実苗さんの勤務先と自宅が徒歩圏だったので、昼食も毎日夫婦で一緒に食べていたそうだ。
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