eスポーツ「JOCから冷遇されている」は本当か アジア競技大会開会式に参加できない理由

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東アジア予選を勝ち抜き、本戦出場を決めた『ウイニングイレブン2018』日本代表のSOFIAこと杉村直紀選手(筆者撮影)

JOC加盟の条件を見るかぎりでは、オリンピックでの参加実績がないeスポーツは、まず準加盟を目指すことになるわけです。その準加盟も「アジア競技大会の実施競技として決定されていること」とあるので、デモンストレーション種目であるジャカルタ大会では、その要項を満たしていないわけです。つまり、現時点ではJOCに加盟する必要がなく、JeSUがJOCに加盟申請をする理由がないわけです。ジャカルタ大会が終わったあと、正式種目となる杭州大会に向けて申請をすればよいわけです。そういった意味からJeSU側も申請を保留しているのではないでしょうか。

ここでもeスポーツだからといって、JOCへの加盟を認めなかったり、JeSU側の話を聞かなかったりという事実はなかったわけです。

正式種目とデモンストレーション種目の差

では、2010年に開催されたアジア競技大会(広州)において、囲碁の団体がJOCへ加盟したという事実についてはどうでしょうか。前出の記事ではリアルスポーツとは違う囲碁がJOCに加盟しているので、eスポーツを除外する理屈はおかしいという話もありました。

これも実際は、正式種目であるか、デモンストレーション種目であるかの差でしかありませんでした。広州大会での囲碁は、正式種目だったため、JOCが加盟を認めていました。ここでも囲碁が問題なく、ゲームは問題あるという論調になっていましたが、これも種目によるところの話ではなく、正式種目であるかどうかの話なわけです。

JOC自体は主催するスポーツイベントを開催しているわけではなく、イベントを主催する団体や大会ごとに組織される組織委員会の要望や要請によって動いており、特別に優遇したり阻害したりすることはないということです。逆に言うと、JOC側からIOCや各大会組織委員会などに、eスポーツをはじめとする新しい競技を勧めることもないわけです。

東京オリンピックでは、野球、ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの5競技が追加されましたが、これもJOCが追加したわけではなく、あくまでも東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が提案したものなのです。

2010年から開催されているユースオリンピックは、青少年にもオリンピックを体験してもらいたいという趣旨から始まっており、その背景に今の子どもたちがデジタルゲームなどを好んで遊んでいることに対してスポーツをより体験してほしいというものがあったとも言われています。そのため、リアルスポーツを扱う団体がデジタルゲームなどを問題視しているという見方もできてしまったかもしれません。

ただ、そのユースオリンピックでさえ、世界の情勢いかんによっては、eスポーツの採用も考えられているのも事実です。職員など個人レベルでは賛否があるかもしれませんが、JOCという団体としては、eスポーツを認める、認めないという話はありませんでした。

スポーツという名がついてしまったがために、リアルスポーツとeスポーツを必要以上に対立構造に持っていきたい風潮もあるように見受けられます。しかし、それではどちらも得をしないので、それぞれを尊重し合い、楽しめるようにしていきたいところです。

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