円盤に愛された28歳日本代表女子の負けん気 アルティメットは単なるフリスビーにあらず
河川敷の土手の上からグラウンドを見下ろすと、さっそく華やかな光景が目に飛び込んできた。
糸を引くかのように美しい軌道を描いて飛ぶフライングディスク、華麗なパス回し、そして空中に浮くフライングディスクに、ダイナミックに飛びついてキャッチするアクロバディックな選手たち。その中でも、筆者の視線は自然と、人一倍豊富な運動量でフライングディスクにかかわる選手に向けられていた。
周囲を広く見渡しながら小気味よく動き、何度もパスを受けては、前線に長短のパスを供給する。さらに、機を見計らっては前線に飛び出して果敢にフライングディスクをキャッチしに行く。その選手こそ、アルティメット女子日本代表選手の田村友絵(28)だ。
田村が所属する「MUD(マッド)」は、東京都の小岩を拠点に活動するアルティメットの強豪クラブチームだ。6月30日からは全日本アルティメット選手権大会が開催される。ウィメン部門関東2位で予選を勝ち抜いた田村のMUDも出場する。
2016年4月よりMUDに加入した田村は、過去に世界クラブ選手権で優勝するなど、国内外で数多くのタイトルを手にしたチームにおいて、今シーズンよりキャプテンを務めている。
田村のプレーにみるアルティメットの魅力
そもそも、読者の皆さんは、アルティメットという競技を観たことがあるだろうか?
アルティメットとは、直径27センチ、重さ175グラムのフライングディスクを使用して得点を競う1チーム7人制のチームスポーツだ。
100m×37mのプレイングフィールド内でフライングディスクを落とさずにパスをして運び、プレイングフィールドの端に設けられたエンドゾーンと呼ばれるエリア内でディスクをキャッチすると得点となる。この説明だけでピンとくる方もいるかもしれないが、この競技は、アメリカで考案されたスポーツであるせいか、バスケットボールとアメリカンフットボールを掛け合わせたような競技なのだ。
その中でも、田村は、主に「ハンドラー」と呼ばれるポジションを務め、パスをたくさん集めてハンドリング(処理)しながらゲームを組み立てる、いわばチームの司令塔としての役割を担っている。
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