キャプテン長谷部がW杯で見せた覚悟・統率力

「0-1で黒星OK」に賭けた他力本願戦略の胸中

6月28日のポーランド戦で途中出場した長谷部誠(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 6月28日の2018年ロシアワールドカップH組最終戦・ポーランド戦(ボルゴグラード)で引き分け以上の結果を残せば、2大会ぶり3回目のベスト16進出が順調に決まるはずだった日本代表。前半を0-0で折り返したのはシナリオ通りだった。

だが、後半開始早々に右足首を悪化させた岡崎慎司(イングランド1部=レスター)が大迫勇也(ドイツ1部=ブレーメン)との交代を余儀なくされたところから、微妙に歯車が狂い始める。後半15分には危ない位置で与えたFKを吉田麻也(イングランド1部=サウサンプトン)の同僚DFヤン・ベドナレクにフリーで決められ、選手たちがパニック状態に陥った。

西野朗監督は立て直しを図るべく、空回りしていた秘蔵っ子の宇佐美貴史(ドイツ2部=デュッセルドルフ)に代えて、24日のセネガル戦(エカテリンブルク)で最初の同点弾を挙げた乾貴士(スペイン1部=ベティス)をいち早く投入。流れを変えようとするも、思うように進まない。

残された交代カードは1枚。指揮官はアップし出番を待っていた本田圭佑(メキシコ1部=パチューカ)を機を見て投入しようと考えていたに違いない。

最後の交代要員が長谷部になった意味

そんな矢先の後半30分手前。同時刻に行われていた裏カードのセネガル対コロンビア戦(サマーラ)で、コロンビアのDFジェリー・ミナ(スペイン1部=バルセロナ)がゴールを奪ったという報がもたらされた。これで日本とセネガルは勝ち点4で並んだが、フェアプレーポイントでイエローカード2枚分優位に立っている。

そのことをキャプテン・長谷部誠(ドイツ1部=フランクフルト)がアップゾーンの本田らに伝え、さらにいちばん近くにいたフィールドプレーヤー・長友佑都(トルコ1部=ガラタサライ)にも報告。そのうえで、西野監督は本田ではなく長谷部を最後の交代要員に選んだ。

「監督からは『このままで行く』と。そして『イエローカードを受けない』と言うことだった。僕を入れることになった時にはそういうメッセージが込められていた。僕も確認して中に入りました」と長谷部はキッパリ言う。

武藤嘉紀(ドイツ1部=マインツ)と代わったのは後半37分。日本は4-4-2から4-1-4-1に布陣変更し、キャプテンはアンカー(中盤の底)の位置に入った。そして最初のボールタッチに「0-1で負けでもOKなんだ」というチーム全体に浸透させるべき重要ポイントを込めた。

次ページ長谷部が見せた最初のプレー
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショックの大波紋
  • コロナショック、企業の針路
  • 読んでナットク経済学「キホンのき」
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
広告大乱戦<br>デジタル化で進む“下克上”

「ついに」か「ようやく」か。ネット広告費が初めてテレビ広告費を超えました。デジタル化の大波の中で、広告業界は“異種格闘技戦”の時代に。グーグルと組んで購買につながる広告商品を生み出したマツモトキヨシなど、激変期の最先端事例を紹介します。