「一燈」のラーメンが圧倒的に評価される理由 食べログ評価1位、4点超えを支える仕掛け

✎ 1〜 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 最新
拡大
縮小

味や店作りはもちろんだが、開店前からホームページを充実させる。この辺りから人気店の片鱗が見える。

開店後、雑誌やネットの取材もだんだんくるようになり、テレビでも紹介されるようになった。人気はどんどん広がっていった。食べログでは開店した2010年から毎年ベストラーメンを受賞、2014年に初めて全国1位になった。

坂本さんは、「お客さんを飽きさせないこと」をつねに考え、味より接客を重視している。「接客と味の割合は7:3だ」と言う。

・お客さんの目を見てあいさつをする

・お客さんの名前を覚える

・ブロガーさんのブログを読んで、話すきっかけを作る

トロフィーの数々(筆者撮影)

など、さまざまな従業員教育をしているが、印象的だったのはあいさつにかかわる考え方だ。

「『いらっしゃいませ』と『あ、いらっしゃいませ』って全然ニュアンスが違うと思うんです。『あ』が付くだけで、『覚えてくれているんだ』とお客さんは嬉しくなる。

常連さんには『ありがとうございます』ではなく『いつもありがとうございます』と言うなど、細かい部分でもお客さんの気持ちって変わってくるんですよね」(坂本店主)

ラーメンの値段以上の付加価値を接客によって作る、それがポイントだという。

「行列を当たり前だと思うな」

行列についての考え方も同様だ。「一燈」は毎日毎日閉店まで途切れない行列を作っている。食べに行く人も大変だ。

店主の坂本幸彦さん(筆者撮影)

「『行列を当たり前と思うな』と教育しています。『行列の中に自分の家族や恋人がいたら、ラーメンをどう作る?』『並んでいる人みんなにそう接しなさい』と伝えています。お客様一人ひとりにとっては大事な1杯。100人のうちの1人と考えてはダメです。1杯1杯をしっかり作るように指導しています」(坂本店主)

同じことは、東京都内を中心に「濃厚豚骨魚介つけ麺のパイオニア」として、知る人ぞ知る人気チェーンを展開する「めん徳二代目つじ田」の辻田雄大店主も話していた。

そんな「一燈」はどのように生まれたのか。

次ページ実家は八百屋を営んでいた
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT