味や店作りはもちろんだが、開店前からホームページを充実させる。この辺りから人気店の片鱗が見える。
開店後、雑誌やネットの取材もだんだんくるようになり、テレビでも紹介されるようになった。人気はどんどん広がっていった。食べログでは開店した2010年から毎年ベストラーメンを受賞、2014年に初めて全国1位になった。
坂本さんは、「お客さんを飽きさせないこと」をつねに考え、味より接客を重視している。「接客と味の割合は7:3だ」と言う。
・お客さんの目を見てあいさつをする
・お客さんの名前を覚える
・ブロガーさんのブログを読んで、話すきっかけを作る
など、さまざまな従業員教育をしているが、印象的だったのはあいさつにかかわる考え方だ。
「『いらっしゃいませ』と『あ、いらっしゃいませ』って全然ニュアンスが違うと思うんです。『あ』が付くだけで、『覚えてくれているんだ』とお客さんは嬉しくなる。
常連さんには『ありがとうございます』ではなく『いつもありがとうございます』と言うなど、細かい部分でもお客さんの気持ちって変わってくるんですよね」(坂本店主)
ラーメンの値段以上の付加価値を接客によって作る、それがポイントだという。
「行列を当たり前だと思うな」
行列についての考え方も同様だ。「一燈」は毎日毎日閉店まで途切れない行列を作っている。食べに行く人も大変だ。
「『行列を当たり前と思うな』と教育しています。『行列の中に自分の家族や恋人がいたら、ラーメンをどう作る?』『並んでいる人みんなにそう接しなさい』と伝えています。お客様一人ひとりにとっては大事な1杯。100人のうちの1人と考えてはダメです。1杯1杯をしっかり作るように指導しています」(坂本店主)
同じことは、東京都内を中心に「濃厚豚骨魚介つけ麺のパイオニア」として、知る人ぞ知る人気チェーンを展開する「めん徳二代目つじ田」の辻田雄大店主も話していた。
そんな「一燈」はどのように生まれたのか。
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