「一燈」のラーメンが圧倒的に評価される理由 食べログ評価1位、4点超えを支える仕掛け

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つけ麺、ラーメンの設計は開業当時と今で基本的には変わっていない。鶏白湯に魚介を合わせたスープに自家製の太麺を合わせたものだ。

当時、隣駅の平井に「とみ田」の富田さんプロデュースの「大黒屋本舗」というお店があって、独立前、坂本さんはこのお店の店長をやっていた。ここが豚骨魚介を出していて、隣駅なので同じ設計のラーメンはやめようということで鶏白湯+魚介になった。当時は新しい味のラーメンだったし、話題になる可能性も十分あると考え、味を決めた。

差別化が必要

坂本さんが「一燈」を開店して8年。その間にラーメンのレベルも全体的に上がって、レベルを追求すると原価が凄くかかるようになった。正直、価格の部分は限界にきていると坂本さんは漏らす。

売価を上げると売れないし、従業員の給料を減らすわけにはもちろんいかない。そうなると味以外のアプローチで他店と差別化することが必要になってくる。

順番待ちアプリを導入した(筆者撮影)

そこで、「一燈」ではこの6月から順番待ちアプリを導入した。来店すると番号が発券され、自分の順番がくる前にアプリが知らせてくれるシステムだ。整理券制のお店はいくつかあるが、順番待ちアプリを個人のラーメン店で導入しているのは聞いたことがない。今後は一度並ばなくても予約できるシステムを導入する予定だという。これもお客様を大事にする姿勢の一つだ。

併せてこれは「常連さんをデータ化する」という坂本さんの大きな戦略でもある。アプリを使ってもらうことで、常連さんがどれぐらいの頻度で来てくれているかを把握。常連さんにサービスで恩返ししていこうという試みだ。非常に今の時代に合ったシステム。行列店だからこそ生きてくるシステムである。

「行列店でも“パレートの法則”は当てはまっています。8割の売り上げを2割の常連さんが作ってくれるということです。常連さんに恩返しするにはどうしたらいいか、必死で考えました」(坂本店主)

同じことをやり続けることが価値だというお店もあるが、「一燈」は違う。同じことだけやっていても真似されるし、お客さんもリピートしてくれなくなる。新たなことを考え続けないと明日はないという危機感が根底にある。

井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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